南場氏「日本の"ガルル型"教育を変えよ!」 「会社員になってから学ぼう」では甘い

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――新規参入が難しいと言われる教育産業で、勝算はあるのでしょうか。

勝算も覚悟もない、というかあまり力んでないんですよ。社会が一歩進めばいいと思っているんです。ただ、当社の人材を使いすぎたり、あまりにも赤字だと会社に迷惑がかかりますよね。そういったことを最小限にして、社会の教育改革、つまりIT教育やプログラミング教育を立ち上げていくという、改革の触媒にならなくてはいけないなと考えています。

――最近、教育系のベンチャー企業が多く出てきていますね。成功している会社は少ないですが、経営のプロとしてどう見ますか。

米国では、成功例もありますよね。たとえば「Edmodo(エドモド)」とか。でも、それでもやはり時間はかかります。その理由のひとつは、いわゆる公的なおカネをある程度あてにするビジネス、つまり公立の学校に入っていくというビジネスを考えると、いわゆる保守的な人たちを相手にしなきゃいけないし、予算や考え方はガチガチだという壁に直面します。

大学トップ校が入試を変えるべき

もうひとつの理由は、そんな困難な状況でも突破口を開こうとしたら、実証研究をする必要があり、そうなると、ある程度時間がかかってしまう。ケチのつけられない実証というのは、なかなか大変です。

理由の最後は、「どういう人を育てるのか」という国のビジョンが定かではない状況で、公的なところを相手にこのようなものをするとこんないいことがあるんですよ、という説得はなかなか難しいということです。

――マインドの話になってきそうですね。

日本の場合だと、国のリーダーたちが「間違わない達人」の人たちでできていて、彼らが自分の子どもたちをやっぱり東大に入れたいと考えている、という枠組みを壊さないとダメかもしれないですね。あるいは、東大、慶應、早稲田という“リーディング・エデュケーション・インスティテューション”が入試を変えるかですね。

それで1回、カオスに陥ってもいいんじゃないですか。とんでもない人が一流の大学に入って、でも、それはそれでいいと思うのです。いわゆるエリートの子どもではない人たちもがんがんエリート校に入ったり、必ずしもできない子も中には混ざるかもしれないけれど、それもまたちょっと構造が変わっていいじゃない?

――大学入試で人の評価が変わると、企業の採用も変わってくるでしょうか。

変わると思いますね。何万人という人が当社の入社試験を受けますが、すごく高学歴の人が受けにくるのです。それでけっこう型にはまったような人も多い印象です。

面接で「最後に質問ある?」と聞くのですが、本当にこれだけは聞いてやろうっていう腹の底から聞きたいようなことを聞く人は少ない。「こういう質問をするのが正解だよな」という、当たり障りのないことで、でもちょっとだけ光るような質問をしてくるわけです(笑)。私はそういうことは嫌いだとずっと言っているのですが、それが伝わるとまた、今度はその裏をかくような質問が出始めたり(笑)。

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