「下半身のストレッチ」で高血圧や冷え性を予防 「体が硬い人」は血管が詰まりやすいという真実

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「人は血管とともに老いる」という有名な言葉もあります。そして、老いていく、つまり「老化」によって起こる現象のひとつが「動脈硬化」なのです。

ただし、動脈硬化を進めるのは年齢だけではありません。偏った食生活や運動不足、喫煙など、血管の負担になる生活をしていると、老化は速まっていき、実年齢よりも10歳も20歳も「血管年齢」が高いということもあるのです。

ところで、「硬くなっていく」「老化していく」といっても、血管は見ることも触れることもできないのですから、ピンとこない人も多いでしょう。

例えば、ゴムホースを想像してみてください。

新品のときはハリと艶と、しなやかさがあるゴムホースも、日が経つにつれ硬くなり、ヒビが入りもろくなります。血管もそれに似ていて、老化すると、硬くなり、もろくなり、しなやかさを失ってしまうのです。「若い血管」は、そのしなやかさのおかげで、血液が流れてきたときに、波を打つように少し広がりをみせます。対して、老いた血管は、カチコチに硬いためほぼ広がらないのです。実はこの「広がらない」ことが、命に関わる重大な病への前段階です。

体が硬くなると動脈硬化が進行する

実は、自分の血管がどれだけ硬くなっているのか、簡単に実感できる方法があります。

あなたにひとつ質問です。あなたは昔に比べて、体が硬くなったという実感がありますか。

「前屈をしても、手の指が足先に届かなくなったなあ」

例えば、こんな実感をお持ちの方は、動脈硬化が進行している可能性が大です。

実は「体の硬さ」と「血管の硬さ」には、深い関わりがあることが、私の研究で明らかになりました。

実験では、60歳以上の中高年層132人を体の硬いグループとやわらかいグループに分けました。次に、それぞれのグループの動脈硬化度を測定すると、体が硬いグループのほうが、動脈硬化度が高いという結果が出たのです。

つまり、体の硬さと動脈硬化は正比例の関係にあることが科学的なデータで裏付けられています。

血管が硬くなると、高血圧や冷え性などの体調不良を誘発します。なかでも最も恐ろしいのは、硬くなっていくことによって起こり得る、血管の「詰まり」や「破裂」です。

そして、硬くなった血管は、傷ついたり、炎症を起こしやすくなるのです。

なぜかと言えば、硬い血管は伸び広がりませんから、心臓が血液を送り出す圧を血管壁がダイレクトに受けます。やわらかいゴムの板ならばボールをぶつけても衝撃を吸収しますが、硬いプラスチック板だったら衝撃によって板にヒビが入りかねません。つまり、硬い管の場合、圧の衝撃によって、なおのこと血管の内側の細胞が傷ついたり、炎症を起こしたりしてしまうのです。

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