「下半身のストレッチ」で高血圧や冷え性を予防 「体が硬い人」は血管が詰まりやすいという真実

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さらに進むと、血管の炎症や傷から悪玉コレステロールが入り込み、プラークと呼ばれる粥状の塊が血管内にできてしまいます。すると血液の通り道が狭くなってしまいます。そして、そのプラークがどんどん膨らんでくると破裂が起こり、その傷をふさぐための血栓(血の塊)ができるのです。それが、狭くなった血管部分に詰まってしまえば、血液の流れを止めてしまいます。これが、脳で起これば脳梗塞、心臓なら心筋梗塞に。こういった重大な疾患へとつながりかねないのです。

このようにプラークができた状態の動脈硬化を「アテローム性動脈硬化」もしくは「粥状動脈硬化」というのですが、世間一般的に「動脈硬化」というと、この状態をイメージする場合もあります。ただ、これは血管が単に硬くなる「動脈硬化」がさらに進んだ状態。先に説明してきたように動脈硬化自体は誰でも起こりますが、できるだけ「アテローム性動脈硬化」へと進行させないことが大事なのです。

体が硬くなると高血圧と冷え性も悪化

血管自体に痛みがないため、気づきづらい——。

それが、動脈硬化の特徴です。

ただ、全身の不調としていくつか現れる症状があります。なかでも、はっきりと変化するものがあるのです。それが、「血圧の値」です。

みなさんも、健康診断などで血圧を測る機会がありますよね。直近の血圧と、例えば5年前や10年前の血圧の数値を比べてみてください。高くなっていませんか?

ぐんと上がっている、あるいはわずかだけど高くなっている。その度合いには個人差がありますが、年齢とともに高くなります。

血圧と血管の硬さは、比例していると思ってください。

血圧が、ぐんと上がっていれば、それなりに血管の硬度も高くなっているということ。血圧の数値の上昇がわずかならば、動脈硬化もさほど進行していないということ。

このように、血圧の数値は、血管の硬さのバロメーターなのです。

血圧が高くなると、当然、動悸、息切れ、むくみといった症状が誘発されます。その背景には、血管の硬さが潜んでいるのです。

また、私たちの研究では「冷え性の人は、血管が硬い」という事実もわかりました。

次のグラフは、冷えと血管の硬さの関係性について、表したものです。

(図表:『体がやわらかくなると血管が強くなる』)

冷えが強い人のほうが、血管が硬いという結果になっています。冷え性というと、「末端の冷え」が圧倒的に多いのですが、これは末端の毛細血管が消失しているからと考えられます。私たちの体には、動脈、静脈以外に「毛細血管」があり、この極細の血管が体の隅々まで血液を運んでいます。しかし、血管が硬くなると末端まで血液が届きません。

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