世界は東日本大震災からの復興計画を注視、過剰な自粛ムードによる経済縮小を回避せよ《田村耕太郎のマルチ・アングル・ビジョン》
史上最悪の巨大地震から数日が過ぎ、世界の日本を見る目が変わってきた。日本でも報道されている通り、日本人ひとりひとりの協調性やがまん強さは相当高く評価されている。今でもアジアいや先進国含めて他地域で同程度の地震が起こっていたら死者は数十万いや数百万人にはなったともいわれている。
しかし、世界は日本に対して厳しい視線を投げかけ始めた。それは「リーダー」に対してである。確かに国民の優秀さはあらためて高く評価され続けている。しかし、これから世界が注目するのはリーダーシップの力量である。
リーダーの力量が試されるのは、「復興策」である。この未曽有の危機に今後国家としてどのようなプランを打ち出せるかである。
阪神淡路大震災のときも復興に10年かかると言われた。しかし、神戸地区の生産活動は15カ月でほぼ震災前の水準に回復。18カ月で神戸地域のデパートすべてが再開業。地区の高速道路は21カ月で復活。港湾施設は26カ月で再開した。確かに復興はインフラだけ済めばいいわけではもちろんないが、神戸をモデルケースにして、今回の東日本大震災からも日本は素早く立ち直るだろうとの見方もある。
ただ、取り巻く環境がまったく違うという見方もある。15年前とは日本の財政状況も日本の経済活力も国際競争力も様変わりだ。
米国のメディアでも「神戸と違い、地震・津波・原発問題が同時に起こり、事後処理はケタ違いに困難になる。さらに日本の財政は15年前よりかなり余力をなくしている。また日本がモタモタしていたら、日本の生産力を奪うような競争相手が世界中で増えていく」と指摘するのだ。
今回の天災を、被災地はもちろんのこと日本全体の再生振興につなげられるか、ここはまさに国が打ち出す復興計画にかかっている。
「日本には地震に対するプランがあった。しかし、これだけの地震から立ち直るプランがあるかどうか」
ここに世界の注目は集まりつつある。