世界は東日本大震災からの復興計画を注視、過剰な自粛ムードによる経済縮小を回避せよ《田村耕太郎のマルチ・アングル・ビジョン》
資金調達を左右する計画
復興に必要な資金の調達も、復興計画の中身に大いに左右されるだろう。今回は膨大な金額が必要となるだろう。東日本ではいくつかの街が消滅するような被災も出ている。これを機に原子力による電力供給は細り、社会・経済生産インフラとしての電力供給体制をどうするが課題となるだろう。よって、金額が大きくなるだけでなく、計画自体が相当長期間になる可能性になる。
この多額で長期に必要な資金は、増税・国債発行・予備費取り崩しのミックスで対応しなければならなくなるだろう。国民は復興のための負担を分かち合うだろう。しかし、今後の経済情勢により、被災者以外の国民生活も厳しくなるかもしれない。継続的に負担をお願いするなら、相当信頼され理解される復興計画が不可欠だ。
すでにGDPの2倍以上の公的債務を抱える日本の国債市場での資金調達についても、復興計画が現実的で建設的でなければ、調達に苦しむことになろう。
最大の問題は経済だ。すでに自粛ムードから、一部の買い占めにあっている消費財を除く消費財や飲食等のサービス産業にダメージが出始めているようだ。供給が課題の電力については省電力に貢献すべきだ。しかし、それ以外での自粛は経済を縮小させる。
「景気」は「気」であり、気分が下がるようなショッキングな映像ばかりメディアで流され、経済の基盤は弱くなっていると思う。
加えて各種学校の卒業式や入学式、スポーツイベント等も中止が相次ぎ、国民の気が盛り上がらない。今後、電力需要が増す夏場にかけて、各種のお祭りやスポーツも中止となれば、さらに気が下がる。それにつれて、自粛ムード継続・強化されるようだといよいよ経済は危なくなる。
国民にも企業にも希望を!
経済の問題はほとんどが電力供給量の問題だ。1000万キロワット規模の電力供給力がすでに失われているが、これが早急に代替される見込みもない。逆に原発への不安や反感が高まり、操業中の原発による電力供給量に支障が出れば、さらなる混乱に拍車がかかる。