世界唯一"四角いうんち"する「ウォンバット」の謎 モフモフ毛皮とつぶらな瞳の可愛すぎる生態
(以下、フンの写真が出てきますので、閲覧にご注意ください)
この立方体の謎に関心を抱いていたのがアメリカのアトランタにあるジョージア工科大学の生体力学と流体力学のエキスパート、パトリシア・ヤン博士とデイビット・フー博士。キッカケはフー博士が8歳になる子供に、「ねぇ、ウォンバットのうんちってなんで四角いの?」と聞かれたことでした。
ウォンバットが作り出すその立方体の存在を知らなかった彼はインターネットでそのことを調べ始めました。その中でウォンバットが疥癬という感染症に苦しんでおり、タスマニア大学がその研究に携わっていることを発見します。その研究の第一人者こそ我が恩師、スコット・カーバー博士だったのです!
彼らはスコットにすぐさま連絡を取り、ウォンバットの生態と例のフンについて尋ねました。後日、スコットの元に交通事故で怪我をした一頭のウォンバットを安楽死させたという連絡が動物病院からに入ります。彼をはじめとするタスマニア大学のウォンバット疥癬研究チームはその個体を引き取り解剖することにしました。
ウォンバットの開腹を進めていくと非常に興味深い発見がありました。肛門から約1m内側、腸の最後の17%の位置から奥で「それ」は形成され始めていたのです。
基本的に水を飲まないウォンバットは消化を通して食物からできるだけ多くの水分を抽出します。それゆえ、彼らのフンは人間のそれと比較すると3倍も乾燥しています。この立方体のフンが消化器官の最後の方で形成されているということは、便の水分含有量が関係しているに違いありません。
しかし、はたして腸の作りのどのようなところが立方体の形成を可能にするのかを解明するにはこの時は至りませんでした。そこで生物の体内で起こる流体力学の専門家のフー博士に実際のウォンバットの腸のサンプルを送り、解析してもらうことになったのです。
一気に謎が解き明かされた
ほどなくしてオーストラリアからアメリカへと地球を半周してきたウォンバットの腸を手に入れたフー博士は、ヤン博士をはじめとした数人のチームを編成し、さまざまな方法で立方体の形成のカギとなる特徴を探っていきます。
近くの精肉店で豚のホルモンを購入し筋肉の構造を比較したり、布でウォンバットの腸の模型を作り、その中で粘土状の固形物が立方体に形成されるメカニズムを実験したり、それをコンピューターモデリングを使い計算したりしました。
――でも、何度実験しても、どんな計算をしても丸くなってしまうフン。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら