頭いい人が実践「思考力の鍛え方」なるほどな方法 「論理」と「ひらめき」を使いこなすのが大切だ
思考力を養う上で重要となってくるのが、「具体と抽象の往復」です。一度、個別の具体的な事実などから一般的なルールに抽象度を上げて、それを再び別の下位にある具体的な事象に適用していくことが、具体と抽象の往復です。「考える」ことの本質であり、これを繰り返すと、人間の知恵が広がっていきます。
具体と抽象を往復するのに役立つ方法として挙げられるのが、「帰納的推論」と「演繹的推論」です。帰納的推論とは、具体的な1つ1つの個別の事象を積み重ねていって一般的なルールを作っていく、「具体から抽象へ」の世界です。一方で、演繹的推論とは、主に一般的に作ったルールを個別のものに当てはめ、別の個別のものにどんどん応用できる、「抽象から具体へ」の世界です。
帰納的推論と演繹的推論はまさにペアになっており、どちらか一方では役に立ちません。双方を駆使して、個別の事象を一度抽象の世界へと一般化し(帰納的)、これを再び具体化して別の世界に適用していく(演繹的)ことで、思考の応用範囲を大きく広げられるようになります。
抽象化とは
抽象化あるいは一般化について、ここでもう一度考えてみます。
例えば玄関にいくつかの履き物があったとします(図7)。そのときに、「Aくんの左のスニーカー」「Aくんの右のスニーカー」といった個別のものをまとめて「左と右を一緒にしてしまおう」と考えて、「Aくんのスニーカー」として扱うのも、抽象化の一例です。あるいはスニーカー全般を一緒にしてしまおう、サンダルだったらサンダルを一緒にしてしまおうということも、抽象化と言えます。
抽象化、一般化により、「サンダルを取ってきて」と言ったときに「どのサンダルか」をいちいち説明しなくても相手に意味が通じるようになります。
もし、抽象化ができない場合は、1つ1つ具体的に言う必要が出てきて、「Aくんの右のサンダル」「Aくんの左のサンダル」「Bさんの右のサンダル」「Bさんの左のサンダル」の4つを、全部説明しなければならないことになってしまいます。抽象化を抜きにしては、「Aくんの右のサンダル」と「Bさんの左のサンダル」は、同じ「サンダル」だということを理解することは難しいのです。
個別に対応するのではなく、それをルール化して応用範囲を広げることが、人間の知能の威力です。これによって科学やさまざまな学問が発達してきました。
ビジネスの場面でもこのような「具体と抽象の往復」が非常に重要な要素になります。
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