頭いい人が実践「思考力の鍛え方」なるほどな方法 「論理」と「ひらめき」を使いこなすのが大切だ

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「手段と目的」の関連づけの例を挙げてみましょう。先述のとおり、ある上位の目的に対して、1つの手段があったときに、「目的が同じであれば他の手段も利用可能」という観点で選択肢を列挙する場面に応用できます。 

例えばここでの「手段」が、ビジネスの現場における情報システムの導入だとします。しかしながら、情報システムを導入するという場合には必ず、上位の目的である、「コストダウン」や「業務の効率化」などが存在するはずです。それなら、例えばITではなく別の形でコストを下げようとか、もしかするとIT導入より低コストで実現できる別の手段も考えられるということです。 

実際のビジネスの現場ではしばしば「当初の目的を見失って、ITの導入そのものが目的になってしまう」という「手段の目的化」が起こりますが、これは「上位概念の喪失」という典型的な思考停止の状態であることが理解できるでしょう。 

「なぜ?」だけが土俵を変えることができる 

「上位概念で考えること」の次の例は、「なぜ?」という問いかけです。「なぜを5回繰り返せ」とか「そもそもの理由(=なぜ)を問うてみる」は、ビジネスの課題の本質を探り出す上でよく語られることです。 

汎用的なフレームワークに「5W1H」があります。英語における疑問詞にはWhy、What、Where、When、Who、Howがありますが、この中で「なぜ」(Why)という言葉は、考えるということに対して非常に重要かつ特別な意味を持っています。 

それでは「なぜ」他の疑問詞と比べて「なぜ」だけがとりわけ重要なのでしょうか? 「考える」という行為に不可欠な、「なぜ」という言葉について考えてみたいと思います。 

先ほど、手段と目的との関係について話をしました。これは情報システムにしろ何にしろ、日常業務における「手段」というのは、上位の目的を考えると(さらによい)別の手段が出てくる可能性があるというのがポイントでした。 

この「手段と目的との関係」もまさに「なぜ」という関係になります。なぜという言葉についてあらためて考えてみると、この言葉は「理由」を表現する疑問詞そのものです。 

他の「何」「どこ」「いつ」「誰」というのは「なぜ」のような(関係性という)「線」ではなく「点」を表現するものです。 

次ページ「なぜ」の力で、真の目的あるいは原因にたどり着ける
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