頭いい人が実践「思考力の鍛え方」なるほどな方法 「論理」と「ひらめき」を使いこなすのが大切だ

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図4(出所:『思考力の地図 論理とひらめきを使いこなせる頭のつくり方』)

製造現場で「なぜを5回繰り返すと本質に迫れる」ということが言われますが、「なぜ」は「関係性」なので、例えば1つ先の原因→2つ先の原因→……と、1つずつ根本的な原因にさかのぼっていけるということを意味します。ほかの「どこ」「いつ」「誰」などは「関係」ではないので、何度も繰り返すことに意味がありません。つまり「なぜ」ほどの「奥の深さ」がないのです。 

以上が「なぜ」という言葉の特別なポイントです。それによって本質に迫ることができるということで、真の目的あるいは原因にたどり着けるのは「なぜ」の力によるものです。 

「なぜの特殊性」はもう1つあります。それは「土俵を変える」ことができるという点です。1つの手段を考えたときに、それは与えられた条件と考えて、その中でそれをいかに「うまくやろうか」と考えるのが1つの方向性です。 

これに対して、目的つまり「なぜ」を考えると、そもそも別のやり方でもいいじゃないかということまで思考が広がり、やろうとしている手段そのものを別の形に変えてしまおうという発想にまで飛んでいきます。 

つまり、「そもそも与えられた問題をもっとよい問題に変えてから最適化する」のが「Why」だということです。 

「具体と抽象の往復」で応用範囲を広げる 

上位概念と下位概念との往復の事例の典型的な例が、ここで述べる具体と抽象との往復です。 

ビジネスの現場では、「抽象的でわからない」とか「話が抽象的で実現できる気がしない」といった表現で、「抽象」という言葉は否定的な文脈で使われることが多いと思います。 

ところが思考力全般で考えたときに、抽象という概念は不可欠な考え方です。 

あらためて具体と抽象というのは何かについて考えてみます。具体というのは直接目に見える個別のものや事象であり、なんらかの実体と直接つながっています。 

したがって、思考力の最終的なアウトプットである「結論」あるいは「メッセージ」というのは、具体性がないと意味がありません。単に「職場をよくしましょう」とか「よい商品を出しましょう」という言葉で終わってしまうことがありますが、これでは「抽象的すぎて」次のアクションにつながっていきません。 

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