目を奪う映像美「IMAX」CEOが語る日本での戦略 『すずめの戸締まり』など邦画も幅広く上映
それによって、その2つを関連づけて覚えられるようになって。それが結果として、グローバルで14.8億ドル(約2070億円)という興収に繋がったと思います。
――ここまでのヒットは予想していましたか?
元々、コロナ禍によって予定されていた時期よりも上映が遅れてしまったんですが、わたしが最初に見たのが1年半ほど前で。そのときにトムとはこれは本当に10億ドル(約1400億円)いける作品だねという話をしていました。ストーリーも素晴らしい、ビジュアルも素晴らしい、音楽も本当に素晴らしかった。これが全部まとまって素晴らしい作品に仕上がっていたと思います。
映画のビジネスというのは科学ではなく、アートだと思うんです。いろいろなことがうまく組み合わさらないと、すべてが良い成果に繋がらない。それがこの作品ではすべてがうまくピッタリとはまって。しかも素晴らしいタイミングで上映された。
作品自体が希望に溢れ、気分が高揚するような作品だった。世の中の人たちがこのパンデミックにいい加減、嫌気が差していたというタイミングで上映されたということも良かったんだと思います。
コロナ禍で苦しい時期が続いた
――コロナ禍では、アメリカでも映画館が営業できない時期がありましたが、この時期の営業はやはり苦しかったのでは?
本当に厳しかったですね。劇場が営業できないだけではなく、映画製作も止まってしまったわけなので。作品がリリースされない状況が続き、その後もパンデミックがいったん落ち着いた後でも上映できる作品が何もなかった。この時期は本当に苦しかったですね。
――さらにこの時期は、映画スタジオが動画配信サービスでの公開も視野に入れるなど、模索の時期が続きました。
そうですね。スタジオ側がこのパンデミックをかなり懸念していましたからね。ですから、パンデミックで作品自体がなくなったということと、あとはあったとしても劇場で上映してもらえないという。その2つの要素で、わたしたちにとってはまさに生き残りをかけた戦い。究極のストレステストのような状態でした。
ただIMAXとしては元々かなりしっかりとした、強力なバランスシートがあったので、コスト削減を行うなど、いろいろな策を講じた結果、最終的には乗り切ることができました。
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