目を奪う映像美「IMAX」CEOが語る日本での戦略 『すずめの戸締まり』など邦画も幅広く上映
当時は自然や科学的な作品が中心でしたが、それをエンターテインメントの領域まで拡大できるというポテンシャルをものすごく感じたんです。ただ実際はそう簡単にいかなくて。想定よりもかなり大変でしたし、時間もかかりました。ですが今はそれを実現することができて大変に満足しています。
――特に大変だったことは?
やはりIMAXに合わせたシアターを建設しなければならないですし、フィルムそのもののコストも下げなければいけなかった。そうすると思っていたよりも、数字の帳尻が合わなかった(笑)。最初はそういったことも理解できていなかったですが、ビジネスの中のすべての部分に変革を起こさないと実現できなかったことなので。それが大変でした。
――当時のクリエーター側の反応は?
やはり最初はものすごく時間がかかりました。最初にスティーヴン・スピルバーグ監督にIMAXの作品を作るのを手伝ってくれないかと相談したんですが、シアターの数が1000カ所になったらもう1回相談してくださいと言われたので。今なら1000を超えたので、全然相談できるんですけど、当時はそれだけの規模感がないということで、すごく躊躇をされていましたね。
当初はそういったこともあったので、IMAXのために撮られた作品を作るのではなく、独自の映像処理技術を使って、既にリリースされている作品をIMAX化するところから始めました。
だから歩みは少しずつではありましたが、次第にジェームズ・キャメロンやクリストファー・ノーランのようなクリエーターが登場してきて。大きな変革ができたわけです。
アバターがブレイクスルーに
――そういう意味で、IMAXのブレイクスルーとなった作品は?
それはやはり13年前にリリースされた『アバター』ですね。ジム(ジェームズ・キャメロン)が撮影中に、本当に小さなスクリーンで画面を見せてくれたんですが、本当にこれで世界が変わるなと思ったんです。そして実際にここからIMAXの世界が変わりました。
――当時は日本でもIMAXシアターでの上映はチケット争奪戦だった記憶があります。
それこそ最近の『トップガン マーヴェリック』の現象に似ていますよね。あの作品では、トム・クルーズと撮影チームと連携をしながら、特別なカメラを作ったんです。そのカメラを(戦闘機の)コックピットの中に設置して、特別なアクションが撮影できるようにしたわけです。
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