目を奪う映像美「IMAX」CEOが語る日本での戦略 『すずめの戸締まり』など邦画も幅広く上映
――世界では1700近いシアター数を誇るIMAXですが、日本で営業しているのは41。もう少し日本での普及を目指したいという思いがあるのではないでしょうか?
現在、IMAXは89の国と地域で展開をしているのですが、確かに日本では41のIMAXシアターが営業中で、現在、6つのシアターとオープン契約を結んでいる状況です。
もちろんもっと増やしたいと思っていますが、ほとんどのシアターが都市部に集中しているということもあり、浸透のスピードはやや遅いですね。日本では100シアターを目標に、よりローカルでの展開も進めていき、この数年間でできるだけすばやくこのネットワークを拡大していきたいと考えています。
IMAXはほかでは体験できない魅力がある
――リチャードさんといえば、自然科学のドキュメンタリー映画などが中心だったIMAXのコンテンツを、商業映画のフィールドに押し広げた立役者となりますが、その方針転換に至った経緯を教えてください。
元々会社を買収したときに、IMAXをもっとメインストリームなものにしていこうという計画があったということもありますが、この変革というのは、どちらかといえばテクノロジーによって推進されたものが大きかった。
まずはハリウッドの作品を、独自の映像処理技術を使ってIMAX作品に変換する技術ができたということ。それからIMAXシアターをシネコンの中に作ることができたことで、新たに特定の建物を建設することなく、コストの削減ができたということ。
それとフィルムからデジタルへの移行が進んでいったことで、プリントのコストが大幅に下がったということが挙げられます。フィルムの時代は、1つの作品の現像代が4万ドル(約560万円)ぐらいかかっていたんですが、それを100ドル(約1万4000円)まで下げることができました。わたしたちが会社を買収したときは世界中で55のIMAXシアターがあったんですが、今は1700シアターに増えています。
――IMAX社を買収しようと思ったのは、どこに可能性を感じたのでしょうか。
とにかくほかとは比べようもないエクスペリエンス(体験)が実現できることが一番の魅力。行ったことのない場所に連れていってくれます。これまで考えられないような体験ができることが一番大きい。それと同時に、ポテンシャルの高さも感じました。
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