東京駅から30分、日本最小「蕨市」の知られざる魅力 かつては城もあった!?「蕨」が見せる多面性

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では蕨市は実際にどんなまちなのだろうか。まちの様子をみていこう。

まず、蕨市の玄関口である蕨駅からみていく。駅は西口と東口の2つの出入り口をもち、西口側が中山道に向いており、元々メインの出入り口であったことがうかがえる。

蕨駅の西側(筆者撮影)

西口から400mほどの位置に大型スーパーがあるが、それ以外、大きな商業施設はなく、商店街も飲食店がメインだ。そして駅から300mも離れれば一軒家が目立つ住宅地になる。唯一少し雰囲気が違うのは、線路沿いの南側にOKIソフトウェアの大きな敷地があることだ。

蕨駅の東側(筆者撮影)

東口は西口よりも駅前のロータリーは小さいが、建物の高さが揃い、西口より1つ1つのビルが大きいので少し整った印象を受ける。メインの動線は駅から東に延びている。これは、駅から正面に延びる道をいくと200mほどで川口市に入ってしまうことや、東へ向かうと300mほどで中規模の食品スーパーがあるためだ。

つまり、蕨駅は名前に対して市内においてはかなり北の端にあたるということになる。また、西口と同じく東口も400mほどで低層住宅中心の住宅地になる。

再び西口に目を転じると、駅前から南西に延びる通り「駅前通り」が目立つ。この道は中山道までほぼまっすぐつながっており、駅開業時は桜が植樹され、桜並木があったそうだ。沿道はかつてのメインルートだった名残で、ちらほらと商店もみられる。

蕨駅前の通り(筆者撮影)

「駅前通り」には宿場街的な雰囲気が漂う

中山道は駅前通りと直交するかたちで国道17号線と並行する「旧中山道」として通っている。大きく修景して宿場街風にしているというわけではないが、老舗の商店がいくつかみられ、周辺の住宅街と比較すると少し宿場街的な雰囲気が漂う。

国道17号線は2車線道路で多くの車が行き交い、カーディーラーやスーパーなどが沿道に立地する。

国道17号線から少し南西に向かうと大型商業施設の「ビバモール蕨錦町」がある。元々は総合スーパー「イトーヨーカドー」であったが、2020年5月に閉店、翌年3月にホームセンターの「ビバホーム」を核テナントとした大型商業施設に変わった。平坦な地形ゆえに自転車で来る人も多い。

「ビバモール」の南西に向かうとすぐに戸田市に入る。蕨駅から「ビバモール」へは1.3km。蕨駅東口から北東に歩くと200mほどで川口市なので、徒歩で蕨市の横断は散歩気分で可能だ。

蕨市の横断側はこのように2kmもないが、縦断側の北西―南東方向は約4kmある。ただこちらもシティサイクルで十分走れる距離だ。

実際に筆者は蕨市内をシェアサイクルで借りたシティサイクルの車両で走ったが、すぐに市境に到着する印象で、先ほど書いた駅前、駅前通り、国道17号線を除いてはほとんどが住宅地で住宅の隙間に小さな工業地があるという印象だった。

工場は駅から離れ、国道に近い西側に多く、ほとんどが一戸建てか小さなアパート・マンションで、三和町の区画整理された住宅地以外は農地から転じた郊外住宅街という印象が強かった。

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