「魚が獲れない日本」を外国のせいにする人の盲点 漁業の歴史を知らないから他国を非難してしまう

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全国各地で食用に向かない小さな魚が漁獲されている(写真:筆者提供)

『魚が獲れない日本』と豊漁ノルウェーの決定的差」で、漁業先進国ノルウェーの好調な水産業を紹介したところ、Twitterなどで多数の反応がありました。中には「ノルウェーの隣国には中国・韓国がない」「日本の周りには乱獲する外国があるので、ノルウェーとは違う」といった、誤解に基づくコメントがいくつも見られました。「隣の芝生は青く見える」といいますが、ノルウェーが「隣国に恵まれている」というわけでは決してありません。

日本の水産資源が減った原因として挙がるのは、外国による乱獲、海水温の上昇などの理由がほとんどです。また魚種交代や、レジームシフトといった、もっともらしく聞こえる解説も散見されます。そこで、その本質的な原因をファクトベースでひも解いていくと、さまざまな矛盾が露呈してきます。必ずしも外国が悪いわけではないのです。

ノルウェーは本当に「隣国に恵まれている」?

「ノルウェーとは違って、日本の周りには乱獲する国がある」。こうした趣旨のSNS投稿は、ノルウェー漁業の実態を知らないことに起因しています。

ノルウェーでは、サバ・ニシン、マダラなどをはじめ、海面漁業による漁獲量の約90%が他国と資源を共有している魚種です。しかし、ほとんどの資源状態は良好です。一方で、日本ではマダラ、シシャモ、イカナゴ、ハタハタをはじめ、ほとんど他国と共有していないのに、資源が激減している魚種(系統)が多数あります。

ノルウェーの隣国であるロシアとは、カラフトシシャモ、マダラをはじめ共同で資源分析を行い、漁獲枠を分けています(例えば、カラフトシシャモの配分は、ノルウェー:ロシア=6:4)。ロシアはウクライナへの侵攻により、持続可能な漁獲量に関する科学的な勧告を行うICES(国際海洋探査委員会)の参加が停止されているものの、ノルウェー・ロシアの2国間の漁獲枠の取り決めは2023年も継続されることが決まりました(2022年10月)。

EU諸国やイギリスなどと共有しているサバ、マダラ、ニシンなどの水産資源に関しては、漁獲枠の配分交渉が行われています。資源配分の交渉は国益が絡み難航するため、交渉がまとまらないこともあります。ノルウェーが漁業に関し「隣国に恵まれている」という捉え方は非常に安易で、現実はそんなに甘くありません。

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