売れ筋は105円!老舗問屋が古着店に驚きの転身 創業は明治、ショッピングセンターへの出店も

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コロナでいったん大きな壁にぶつかったが、短期間で赤字から脱却できた。そこで新たな出店戦略を進めている。ショッピングセンター内での出店だ。

コロナ後はショッピングセンターに出店

21年3月にオープンした千葉・プラッツ五香店、21年4月にオープンした東京・西友東陽町店は、いずれも路面店ではなく、施設内の店舗。空きスペースが多くなった郊外のショッピングセンターを再生させる起爆剤として、たんぽぽハウスの集客力が期待されており、いろいろなところから声がかかるのだという。

たんぽぽハウスの五香店
五香店の様子(写真:羽久ホームページより)

 「五香店はこれまでで最大の店舗で100坪もある。ショッピングセンターはテナントを入れるのに苦労しており、家賃がだいぶ下がっている。出店を拡大させるチャンスが来ている」と意気込む。「ただし、まだ採算が良くない。100坪店を多店舗展開するためには、まだまだ磨き上げていかないといけない」。

店舗を増やすために必要なのが、まずは人材の育成。「天才的なパート社員の皆さんのおかげで成り立っている。オンザジョブでそのノウハウを新しいパート社員に教えていくので、1店1店ずつ丁寧に出店していきたい」。

物流倉庫の効率化も課題だ。現在、買い取った服を保管しておく倉庫は複数箇所に散在している。手作業で海苔箱に入れて保管しているのだが、いずれは1カ所にまとめて効率化を図りたい。まとめることにより買い取りだけでなくアパレルから流れてくる新品の型落ち品の取り扱いを増やすこともできるようになる。商品が増えれば、さらなる店舗増にも弾みがつく。成長のスパイラルが回転を始める。

羽田社長の事業意欲は広がる。「しかし、それを進めるのは僕の代ではない。社員の中から後継者をみつけていきたい」。

毎日のように、羽田社長は前掛けをつけて、日本橋浜町の本社で古着の仕分けと値付け作業をしている。ここで扱っているのは、上野広小路店で販売する衣類の一部。「社長が働かないと社員に働けとはいえない。遊んでいる暇はありませんよ」。

祖父が創業した羽久、母が大事にしていたヴァンベールというのれんは、業態をすっかり変え、いわばリユースされながら、次の世代へとバトンタッチされようとしている。

特集「リユース市場『3兆円』の潜在力」では以下の記事を配信しています。
70年代の国産ギター高騰、人気うなぎ登りの理由(2022年11月12日配信)
メルカリ一強体制に変化、中古品流通の最新事情(2022年11月12日配信)
フリマアプリ浸透でリユース店舗が拡大する背景(2022年11月13日配信)

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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