激安服「シーイン」日本での普及への「一番の課題」 フォーエバー21の二の舞にはならないのか
ツイードミニバッグ1389円、パールのピアス89円、ケーブルニット2115円――。激安価格で知られる中国発ファストファッションの「SHEIN(シーイン)」の東京初となる常設店舗が11月13日、東京・原宿にオープンした。店頭では販売せずに、商品の紙タグのQRコードを読み取って公式サイトかアプリ上で買う"ショールーミング"形式の店舗となる。
店舗面積は約200平方メートル。婦人服を中心に、靴、バッグ、ファッション小物、生活雑貨、紳士服、キッズ服を取り揃え、商品は日々アップデートしていく。オープン前に並んだのは100人ほどで、4000人が並んだ大阪の期間限定店と比べると静かな出足となった。本稿ではファッション業界を長く見てきた筆者が、シーインが日本で直面するであろう「課題」について考えてみたい。
世界中のZ世代女子を魅了するシーイン
シーインが世界を席巻しようとしている。公式発表の数値ではないが、2022年度の売上高は240億ドル(約3兆3312億円)に達すると言われており、ザラのインディテックス、H&M、ファーストリテイリングの世界3大SPAの売上高を上回ることになるかもしれない。一部報道によると、2020年度の売上高は約100億ドル(約1兆3880億円)、2021年度が157億ドル(約2兆1792億円)と言われており、この2年間の伸び率は驚異的というほかない。
シーインは2008年に許仰天が中国で創業した南京希音電子商務に端を発する。2012年に現在のアパレルEC事業の本格展開を開始。ポップアップショップ以外の店舗の展開はせず、ウェブサイトとアプリだけで販売し、現在は150以上の国と地域でサービスを提供している。
顧客の多くを占めるのが、世界中のZ世代の若い女性。とくにアメリカでは人気が爆発しており、2022年4〜6月期のアプリのダウンロード数でアマゾンを超えたとの報道もある。ファッションに興味はあるけど高いものは買えない世界中のZ世代の女性にとって、圧倒的に安くて、そこそこかわいく、他人と被らないシーインの服は、願ったり叶ったりの存在だったのだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら