老化を防ぐ「前頭葉」日本人がほぼ使えていない訳 未経験のことに挑戦する時に使うのだが…

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「とはいえ、好奇心やクリエイティブな感性を伸ばすことも重要では?」と考えた方もいるでしょう。「個性重視の教育」を対置して「詰め込み教育」を批判する声も、よく耳にするところです。

では、その考えはどこから来たものでしょうか。「欧米の教育は個性重視だから」ではないかと思います。しかしここにもまた、大きな誤解があります。

たしかに、1960年代~80年代初頭までのアメリカやイギリスでは、個性を重んじ、好奇心を伸ばすことを優先した教育が行われていました。しかしその結果、深刻な学力低下が起こり、アメリカもイギリスも方針転換せざるを得なくなりました。

その際に手本にしたのが、日本の詰め込み教育です。1980年代の日本の隆盛の基盤は初等教育にあるとして、教育改革を行ってテコ入れをし、学力を回復させています。つまり英米において、「詰め込み=悪」という考えは時代遅れとなって久しいのです。ついでに言うと、その後、アメリカからは世界的なIT企業が、イギリスでもダイソンのような昔の日本を彷彿させる企業が生まれています。

「ゆとり教育」が失敗した理由

ところが日本は、アメリカやイギリスとは逆の道をたどりました。詰め込み教育に対して要らぬ反省をし、「ゆとり教育」へとシフトしたのです。これは、文部省(現・文部科学省)の中央教育審議会委員を務めた大学教授陣が、1960~70年代のアメリカに留学していたことが影響しています。

彼らは、教育改革をする「前」のアメリカの教育を理想化し、帰国後、それに倣うことを目指しながら着々と出世しました。そして教授になると「ゆとり教育」の基本方針を答申。1990年代半ばにゆとり重視の学習指導要領が導入され、2002年から現場で施行されます。

そのころ、日本はすでに台湾や韓国に中学生の数学力で後れをとりはじめているということが調査結果で明らかになっていました。にもかかわらず、わざわざ学力を落とす改悪をしたことが、現在のIT分野での惨敗を招いていることは火を見るよりも明らかです。

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