老化を防ぐ「前頭葉」日本人がほぼ使えていない訳 未経験のことに挑戦する時に使うのだが…

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アメリカが1980年代に捨てた方針を、21世紀になってから踏襲するという的外れな施策が、なぜ行われてしまったのでしょうか。それは、教授たちの知識が留学時代から更新されていなかったからです。

いやしくも教育のプロならば、帰国後も勉強を続けて、常に最新の知識を得ておくべきところです。しかし日本の学界には、教授になれば勉強しなくても地位を保てるという、悪しきシステムがあります。この既得権益に、権威を得た教授たちが何十年もしがみつき、決定権を握って離さないのです。

日本の大学教育の質の低さは世界ワースト

この「偉い方々」は、世界で高く評価された日本の初等・中等教育を捻じ曲げただけでなく、小学校~高校の教員資格に免許更新制も導入しました。大学教授の資格こそ更新制にしろと、声を大にして言いたい思いです。

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教員免許の更新制は弊害があまりにも大きく、2022年に廃止になりました。そして、最新の知識が必要な大学教授たちの免許更新はいまだに実現していません。日本が前頭葉の機能が低下しやすい社会構造を持っている元凶は、小中高校の詰め込み教育ではなく、大学教育にあります。

日本の大学教育の質の低さは世界ワーストレベルだと私は考えています。大学は本来、それまでインプットした知識を使って、自ら思考を組み立て、アウトプットする力を養う場です。諸外国での大学教育では、そこに力点が置かれます。だから、教授の言うことに逆らって議論できる学生が優秀とされます。

対して、日本のほとんどの大学で行われているのは、教授が教えた通りのことを試験で答えればよいという教育です。どちらが前頭葉を鍛える教育であるかは、言うに及ばないでしょう。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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