
主な舞台を北海道にした辺りも憎いです。札幌フィルムコミッションの全面協力によって、札幌、小樽、旭川、千歳、そして女満別など各所で撮影が行われ、ライラックが咲き渡る爽やかな風景からマイナス20度にもなる厳しい雪景色まで、色とりどりの背景が温かさや切なさを表す感情を効果的に見せてもいます。
信号のない環状交差点を上空から撮影したタイトルバックも脳裏に残ります。こうした随所に見られる映像デザインのこだわりや、衣装や小物などブルー系のカラーに統一した色調からも作りの丁寧さを感じます。
東日本大震災やコロナも扱う意味
現実社会に起こった出来事を扱うことで時代の空気感も伝えています。宇多田ヒカルのCDデビューをはじめ、火星探査機「のぞみ」の打ち上げや自衛隊のイラク派遣、そして東日本大震災やコロナ禍など。時代性を重視した理由の1つに、作り手の中心人物が1983年生まれの宇多田ヒカルと同年代であることも大きそうです。

10月21日に行われた取材会でNetflixの坂本和隆コンテンツ部門バイス・プレジデントは「あるとき、タクシーの中で流れた『First Love』を聞いた瞬間、自身の16歳の思い出がフラッシュバックする感覚を覚えたのがすべての始まりです。同じ目線で同じ時代を生きたクリエイターたちと非常に近い距離で動かしていった1本だと思っています」と語っていました。
坂本自ら原案から練り、寒竹ゆり監督と映画制作会社C&I エンタテイメント所属の八尾香澄プロデューサーの同年代の3人がゼロから脚本を作り上げていったこともわかりました。その後、撮影、編集を経て足かけ4年かけ、史上最大級の日本発オリジナル作品が完成されていったということです。
Netflix日本オリジナルの代表作である「今際の国のアリス」や「全裸監督」はいずれも原作があり、それらと比べるとオリジナル脚本の本作は時間をかけてストーリーやキャラクターを丹念に作る必要があったかと思います。あえて挑戦し、勝負に出た作品と言えます。
日本のみならず世界にも通じるような普遍的なテーマも追求されているように思います。1話の冒頭、也英(満島ひかり)が「人生はまるでジグソーパズルだ」と語る台詞こそ、この作品のテーマです。

うれしいことも悲しいことも、すべての出来事が必要なピースとなって、完成されていくのが人生。そんなことを意味します。Netflixの坂本氏は「この作品を見るすべての人に、生きることが楽しいと思ってもらえるように。そんな想いを込めています」とも話していました。
その言葉どおり、ラストは希望を持てるもの。しかも、欠けていた最後のピースがカチッとハマるような爽快さにあふれています。早くも共感を得てNetflix日本の週間ランキング1位を記録し、アジア地域からも支持を得て、世界の週間ランキング(非英語)8位に位置付けています。この後、アジア以外にも広がっていくのか。宇多田ヒカル楽曲の力も借りたバズリがカギとなっていきそうです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら