一方、「うつ状態」は文字通り「うつ病っぽい状態」のこと。精神疾患にも種類はいろいろとあり、症状によって当てはまる病名はもちろん異なりますが、それらの多くに共通して「うつ病のような症状」が表れます。ですから、「うつ状態」であるからといって、必ずしも「うつ病」であるとは限りません。
たとえば、
「気分が落ち込んでいて、何もする気になれない」
「すごく憂うつな気分が続いている」
「あまり食欲がない」
「うまく眠れない」
こうした症状が見られると、医師は「うつ状態にある」と判断します。
精神疾患がなくても「うつ状態」に陥ることがある
考えてみれば、大失恋した直後や第一志望の就職先に落ちたとき、長年抱いた夢が破れたときなどにも、同じような状態になることがありませんか。数日は続くこともありますよね。つまり、誰であっても、精神疾患がなくとも、人は「うつ状態」に陥ることがあるのです。
初めて受診したとき、医師に「うつですね」と言われたのなら、うつ病ではなく「うつ状態」を指している可能性が高いでしょう。その理由として、うつ病である判断がついたなら、そのような紛らわしい言い方をせずに、
「あなたの病気は『うつ病』ですよ」
と、病名をきちんと伝えます。
何らかの精神疾患がありそうな場合でも、病名がすぐにはわからないとき――うつ病か、双極性障害か、発達障害か、統合失調症か、パーソナリティ障害か、アルコール依存症なのかわからないときも、とりあえず今は「うつ状態」にあることだけははっきりといえますというケースはよくあります。それが「うつですね」という伝え方になってしまうのです。
裏を返せば、うつ状態になっている原因が今はわからず、病名を特定できない段階であることを意味します。
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