メンタル不調な人の職場復帰で注意したい重大事 家族も職場も再発リスクを甘く見てはいけない

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うつで悩む男性
すぐに以前と同じように働けないということを周囲は理解しなければなりません(写真:Mills/PIXTA)
精神科を受診する患者数が年々増え続けるなか、家族のメンタル不調をケアする立場に置かれる人も多いのではないでしょうか。産業医として1万人以上を診察してきた精神科医の井上智介氏の著書『どうする? 家族のメンタル不調』より、メンタル不調からの職場復帰後に注意すべきポイントを解説します。

回復してから1年半~2年は油断できない

どのような精神疾患かにもよるのですが、たとえばうつ病であれば、症状が回復してから1年半から2年の間は、再発のリスクが非常に高いといわれています。たとえ薬の処方がなくなったとしても、安心はできません。

患者さんの多くは、薬が処方されないならと通院しなくなってしまうのですが、最低半年間は、2、3か月に1回くらいのペースでも構わないので、通院してほしいのが精神科医としての意見です。

精神疾患は全般に再発のリスクがとても高いです。何か少しでも不調を感じたとき、すぐに相談できる状況を整えておくことが大事です。薬がなくても通院し、数カ月後であっても次の受診の予約を入れておくことが、いざ何かあったときに患者さんの助けになるのは間違いありません。

多くの病院では、前回の受診から数カ月の間が空いてしまうと、過去に通っていた患者さんも初診扱いになってしまいます。すると、いざというときに受診の予約が取りにくくなりますし、非常に調子が悪くなってもすぐ受診できないリスクが出てきます。どのくらい間隔が空くと初診扱いになるかは、各病院によってルールが違いますから、事前に確認いただいたほうがいいでしょう。

職場や学校に復帰し、薬もゼロになったとなると、ご家族もようやく日常が取り戻せたと安心されると思います。

ただ何度も言うように、再発のリスクはありますので、気を抜くのは厳禁です。うるさがられるかもしれませんが、通院を継続するように患者さんに促していくことがとても大切なのです。

患者さんの家族には

「再発が心配だから、必ず次の予約だけは入れておいて」

と、心配している気持ちを前面に出して患者さんに頼んでほしいです。

「もう大丈夫だよ」

という本人の言葉に流されたりしないこと。もし通院が続けられているようなら、その事実を言葉で評価してあげるのが望ましいです。

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