「ワーク・ライフ・バランス」が「無理ゲー」な理由 「いい子」を生む経済成長前提の社会構造の限界
このような条件のもと、戦後日本ではワークを主としライフを従とすることで敗戦からの復興を遂げていきました。そして現在でも内閣府の言うワーク・ライフ・バランスはその目的を経済成長にしているという点において、この延長線上にあるといえます。
しかしこの経済成長を前提にした社会構造が生み出した歪みとして、70年代後半には「過労死」の報告がなされていきます。以下は先ほどの森岡さんの本からの引用です。
ワークとライフの均衡を取り戻す
ワークを主としライフを従として推進されてきた、経済成長がもたらした結果の負の側面が「過労死」です。内閣府のいうように、「我が国の社会は、人々の働き方に関する意識や環境が社会経済構造の変化に必ずしも適応しきれず、仕事と生活が両立しにくい現実に直面して」いて、それを本当に変えたいのであれば、経済成長を前提にした議論自体を再考すべきです。
しかし日本はいまだにワークとライフの主従関係をそのままに経済成長を志向し続けています。この状態で「仕事と生活の調和」を目指すことは、結局ワークにライフを従属させることの強化につながります。僕たちが目指すのはワークとライフの主従関係を解消し、両者の均衡を取り戻すことです。この観点から、これからのワーク・ライフ・バランスは「働くことと生きることの均衡状態」と訳すことができるでしょう。
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