中国アリババ、7~9月期「赤字4400億円」の背景 新型コロナの感染拡大続き、個人消費が低迷

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中国の個人消費が低迷するなか、アリババのEC事業は苦戦を余儀なくされている。写真は浙江省杭州市の本社キャンパス(同社提供)

中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は11月17日、2022年7~9月期の決算を発表した。同四半期の売上高は2071億7600万元(約4兆572億円)と、前年同期比3%増加。一方、純損益は224億6700万元(約4400億円)の赤字を計上し、前年同期の33億7700万元(約661億円)の黒字から大幅な落ち込みを記録した。

同社の説明によれば、赤字転落の主因は投資損失だ。7~9月期の決算報告書には、(投資先企業の評価額の見直しに伴う)持分法に基づく評価損として41億3600万元(約810億円)が計上された。前年同期の投資損益は55億1800万元(約1081億円)の黒字だった。

しかし投資損益の影響を差し引いても、アリババの業績は精彩を欠く。中国では新型コロナウイルスの感染拡大と厳しい行動制限が長期化し、個人消費の低迷が続いている。かつてのような(巣ごもり消費の拡大に伴う)オンライン特需も消失し、売り上げ拡大の余地は限られているのが実態だ。

ネット企業の高度成長「今は昔」

アリババの総売上高の65%を占める中国国内の小売り・卸売りセグメントの売上高(訳注:主な収入源はECサイトの加盟店からの手数料)は、7~9月期は1354億3100万元(約2兆6522億円)と前年同期比1%減少した。一方、海外事業の売上高は157億4700万元(約3084億円)と前年同期より4%増加した。

そのほかの事業セグメントでは、「阿里雲(アリババクラウド)」や「釘釘(ディントーク)」を擁するクラウド事業が比較的好調だった。同事業の7~9月期の売上高は207億5700万元(約4065億円)と、前年同期比で4%増加。なお、クラウド事業は2022年3月期(訳注:アリババの会計年度は4月から翌年3月まで)に初の通期黒字を達成した。

本記事は「財新」の提供記事です

中国のインターネット業界では、数年前までの高度成長が「今は昔」になりつつある。大手企業でも従業員の解雇や新規採用の凍結が相次いでおり、アリババも例外ではない。決算報告書によれば、9月末時点の従業員数は24万3903人と3カ月間で1797人減少。2022年初からの減員は1万5413人に上る。

(財新記者:孫嫣然)
※原文の配信は11月18日

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