何回かの議論の結果、まず、教育についての提言をすべしとなった。そして、何回かの議論、ヒアリングをして、『学校教育活性化のための7つの提言』としてまとめた。
1.学校の設立を容易にして、多様化すること 2.通学区域を大幅に緩和すること 3.意欲ある人を先生にすること 4.学年制や教育内容、教育方法を弾力化すること 5.現行の学制を再検討すること 6.偏差値偏重を是正すること 7.規範教育を徹底することこの提案を、単行本にするだけでなく、新聞に一面の提言広告を出そうということになった。もちろん、出席していた松下も同意した。
腹を立てる私に……
そこで、新聞掲載用の原稿をまとめ、各先生の同意を得て、いよいよ掲載というところまでなった。ところが、松下から呼び出され、行くと、「きみ、あの広告はやめよう」と言う。それまで、何度も松下に確認していただけに、「どういうことですか」と思いがけずの中止指示に腹立たしく、尋ねた。「いや、まあ、反対する者がいてな。無理せんでおこう」と言う。
「いや、そんなことは、はじめから申し上げていたし、それでもやろう、と言われたではないですか。国家国民を考える、そう言っておられたではないですか。その思いはどこに捨てられたのですか」
私は、憤然として、席を立ち、帰宅した。帰宅して、1時間ほどした夜10時頃、電話が鳴った。受話器をとると、松下からであった。
「先ほどは、申し訳ありませんでした」というと、松下が、
「いやいや、あれから、考えたんやけど、きみの言うことのほうが正しいわ。わしが悪かった。あの提言広告、誰が何と言おうとやろ。きみ、進めてくれや」
しんと静まり返った部屋で、私は、言葉が出なかった。
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