なぜ「想定外」にこれほど対応できないのか 実は弱かった「ジャスト・イン・タイム」

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このような外部からの衝撃がやってきたとき、しっかりした基盤があれば対応しやすいでしょうが、足元の日本社会では、人口減少、高齢化、地方の過疎化、年金制度の不安、地域のつながりの弱化など、衝撃の痛みを吸収して立ち直る力が弱まりつつあることも不安です。

 このような状況を考えたとき、これまでのように「これまでどおりが続いていく」ことを前提にするのではなく、「いつ何時、何が起こるかわからない」ことを前提に、人生や暮らし、組織や社会を考え、つくっていく必要があります。

あの3・11ではどうだったのか

「いつ何時、何が起こるかわからない」としたら、何かを「想定」して、それに対する対処を考えておくだけでは十分ではありません。「想定外」が発生することを前提に、「何が起こっても、それでぽきっと折れてしまわない、地の強さ」をはぐくんでおくことが重要なのです。この「何があっても、ぽきっと折れることなく、たくましくしなやかに立ち直れる力」が、最近注目の「レジリエンス」です。

 レジリエンスという英語は、「復元力」「弾力性」「再起性」などと訳される言葉ですが、私はよく「しなやかな強さ」と訳します。強い風にも重い雪にも、ぽきっと折れることなく、しなってまた元の姿に戻る竹のように、「何かあってもまた立ち直れる力」です。

 4年前の東日本大震災を思い出してみてください。震災後、物流や生産が完全に麻痺してしまいました。かなり長期間にわたって、暮らしの必需品も届かず、部品が調達できなくなり、工場の生産も休止せざるをえなくなったのです。

 なぜ、このような状況になってしまったか? 原因の一つは、物流にしても生産にしても、「ジャスト・イン・タイム」が行き渡っていたことです。かつてのように、あちこちで在庫を持つやり方は「効率が悪い」とされ、在庫を持たず、コストが安くてすむ、効率のよいシステムが導入されていました。

 また、コスト削減のため、部品の調達先もしぼり、一社に頼っていた企業も多くありました。そういう状態で、3・11のような震災が起これば、すべてがストップしてしまいます。短期的な効率やコストを優先するあまり、レジリエンスに欠けるシステムになっていたことがわかります。

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