デニッシュ「実は広島生まれ」、意外な歴史の真実 欧州に学んだ男が立ち上げたアンデルセンの神髄

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1967年には、広島にベーカリーとレストランの複合店「アンデルセン」がオープン。デニッシュが全国に広がるきっかけは、1970年、東京・南青山にオープンした「青山アンデルセン」(2017年閉店)だ。「青山通りにコペンハーゲンの街角をもってきました」をキャッチフレーズに、デニッシュを売りにしたおしゃれな店。新しいおいしさが評判を呼び、日本中に伝わっていった。

アンデルセン イスランズブリュッゲ店
アンデルセン イスランズブリュッゲ店(画像:アンデルセングループ)

創業60年を迎えた2008年、アンデルセンはデンマーク・コペンハーゲンにも店を開いた。「昔ながらの味、やっぱりとてもおいしい、と現地で喜びと驚きをもって迎えられました」と、アンデルセン・パン生活文化研究所の執行役員、清川秀樹さんは話す。

アンデルセンのデニッシュは、パン生地と油脂の層を3つに折りたたむことを3度繰り返し、27層にするデンマークの伝統的な製法で作られるが、手間がかかるため、デンマークではこの製法をとる店が減っていたのだ。「デンマーク人の職人が興味を持ってアンデルセンで仕事につき、技術が継承されて、現地で昔ながらの製法がまた戻りつつあるようです」。

バラエティ豊かなデニッシュ

広島市の繁華街・本通にある「広島アンデルセン」には、デニュシュペストリーがきれいに並んでいた。

「ダークチェリー」「スパンダワー」「ロングデニッシュ(アップルジンジャー)」「リュッケデニッシュ」(右下)
「ダークチェリー」「スパンダワー」(上)、季節商品「ロングデニッシュ(アップルジンジャー)」(左下)、チョコやラズベリーなどのミニサイズ4種セット「リュッケデニッシュ」(右下)(筆者撮影)

「ダークチェリー」は月間約5万2000個が売れる人気商品。味わうとパリッと生地が弾け、噛みしめるごとにダークチェリーのジューシーさが広がる。同じく定番人気の「スパンダワー」は、卵とミルクの素朴な味のカスタードクリームがいい。どちらも、隠し味のアーモンドペーストがコクを増している。

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