「働きアリの法則」働かない2割、会社はどうすべき 社員の「自立・自律スイッチ」を押す3つの原則

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「原則1:逆算思考」有限の資源、有限の時間で結果を出す

「大金持ちにも貧乏人にも、時間だけは等しくある」といわれながら、「時間の使い方次第で得られる結果が変わる」ともいえる貴重な経営資源が「時間」です。「人的資本経営」「人材力・組織力の強化」いずれにおいても、この「時間」を軽んじることはできないでしょう。

そこで、効果的な事業展開においては、有限の資源と時間で結果を出すにはどうしたらよいかという「逆算思考」に基づく「手順の明確化」が必須といえます。

例えば、中小企業は限られた人材で事業展開している必要上、少数精鋭でなければなりません。日本では「俺の背中を見て育て」という文化が残っていますが、これでは属人的な組織を脱することは困難です。まずは原則の1つとして、逆算思考、つまり手順の明確化を大切にしましょう。

マニュアル依存、前例踏襲で仕事を進めがちな会社や個人に、人的資本の力を高めるうえで、とくに逆算思考は重要なものです。

「関係性の向上」と「結果追求」

「原則2:複眼思考」関係性向上と結果追求の2軸で行動する

「会社」には、人と人が集まる組織体という側面から「関係性の向上」を図る必要性と、売上・利益追求のための組織体という側面から「結果追求」を図る必要性の2つがあります。

しかし、この2つのバランスを取ることが難しいことから、「仲良しクラブ」(相互にいがみ合っているようでも、外から見れば馴れ合っている関係も含みます)、あるいは「売り上げ・利益偏重(極端にいえばブラック企業)」に陥ってしまいがちなのです。

この2つのバランスが重要という意味で、人材力・組織力強化には複眼思考が原則となります。実践の際には「ルールの順守」、つまり関係性向上と結果追求の2軸からルールを設定し、会社全体で順守するようにしていきましょう。

「原則3:システム思考」「2:6:2」を踏まえた人材・組織モデル

・優秀な2割の人材が業績を牽引して組織を作る
・普通の6割がそこそこの仕事をする
・下の2割は業績にも組織的にもあまり貢献しない

これは「2:6:2」の法則——別名「働きアリの法則」とも呼ばれるものです。この下位2割の人材に貴重な管理職の時間を空費しないようにすべく、人材力・組織力強化の3つ目の原則として、「システム思考」が重要になってきます。

まず「上の2割」と「普通の6割」で経営・事業が継続できるようにします。また、「下の2割」にはパターン化した対応を決めておき、組織的なコストをいたずらに消耗させないようにするのです。要するに「2:6:2」の人材・組織モデルとは「業務の仕組み化」と言い換えることができます。このモデルがある程度できて、はじめて本来的な問題に集中できるようになります。

この記事のまとめ
・「人的資本経営」と「人材力・組織力強化」という考え方においては、現実的な目線で施策の1つひとつのメリット・見返りを明らかにするマインドとプランニングが重要。
・「希少性」「企業と従業員の関係」「自身の市場価値」を従業員に継続的に伝え、自立・自律のスイッチを入れる。
・理想の人材力・組織力へ向けた強化のための3つの原則「逆算思考」「複眼思考」「システム思考」に基づいて「人的資本経営」を遂行する。
清水 裕一 株式会社コアインテグリティー代表取締役

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しみず ゆういち / Yuichi Shimizu

大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)、ザ・ヒューマン株式会社(現ヒューマンアカデミー株式会社)を経て、株式会社リンクアンドモチベーション入社。同社で採用・育成、人事制度・組織開発の各種コンサルティング等を手掛け、創業期の中心的メンバーとして活躍。その後アルー株式会社にて、責任者として研修プログラムの企画・開発を手掛ける。2015年株式会社コアインテグリティーを創業。中小企業の健全な成長・発展を支援すべく、事業計画立案支援、人事制度・営業力強化等のコンサルティング及びビジネススキル研修を中心とする各種プログラムを提供。

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