「神対応間違いだった」元お客様相談室長の警鐘 「悪質クレーマー」から中小企業をどう守るか
対応した人の人格否定やセクハラといった即時に拒否する判断基準をつくることも大事です。応対者のメンタルを壊すような行為も見受けられます。社会状況の変化と思いますが、客も何か言えば企業から何らかの物がもらえるような悪習慣が増えてきました。
「神対応」が歪んだ顧客満足につながってはいけない
――海外ではクレームにどう対応しているのでしょうか。
不備があれば買ったお店で交換することが定着しています。交換した商品の代金は店舗がメーカーに請求します。協会として海外研修を行っていますがヨーロッパで「日本のメーカーでは年間何十件ものクレームがくる」と言うと驚かれます。
――「お客さまは神様」の考え方が日本には根強いのかもしれませんね。
それもありますが、差別化を図ろうとした大手企業の「歪んだCS(顧客満足)」があったのだと思います。
もちろん菓子メーカーとして誤飲や誤食、アレルギー対応については最重要課題として取り組まなければなりません。ただ、やる必要があることと、やらなくてもいいのにやっていたことが混在していました。
顧客への「神対応」がほめられた時代もあり、私もカルビー時代は「神対応」だとネットに書かれたことがありました。今はそれが間違っていたなと反省している面もあるんです。
本来は全ての顧客に同じ対応をすることが誠意なはず。特定の人に特別な対応をしてそれがSNSで拡散されれば、業界は自分の首をしめることになってしまいます。
厚生労働省が企業向けのカスハラ対策ガイドラインをつくりましたが、業界の成り立ちやビジネスモデルなどがそれぞれ違うため、業界ごとのガイドライン策定やそれに沿った自社の対応マニュアルへの落とし込みが必要だと思います。
昔は顧客対応は担当の部署でやれという雰囲気がありました。しかし、消費者や社会が変わってきている今、会社や業界全体で自分たちを守る鎧(よろい)を作らなければなりません。
(ライター・国分瑠衣子)
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