「神対応間違いだった」元お客様相談室長の警鐘 「悪質クレーマー」から中小企業をどう守るか
――リスク管理と顧客創造(マーケティング)を分けて考えたほうがいいということでしょうか。
そう思います。企業に良くなってほしいという気持ちから電話をかけてくる人は、昔と比べて減りました。
カルビー時代に経験しましたが、特定の商品が好きな人は本当に毎日同じ商品を食べているんですよ。あるカップ入りスナック菓子が以前に比べ、開けにくくなったというクレームが2件続いたことがあります。
3件目のクレームで原因を調べてみたら、カップを製造する特定の業者が接着剤を変えていたことが分かりました。毎日食べている人だから分かることだったと思います。ただ、今はそういう人は非常に少ないです。
クレームに丁寧な対応をしてファンになってもらう時代ではなくなった気がします。マーケティングはSNSでもできる時代になりましたし、私はリスク管理とマーケティングを切り離して考えてもいいのではと思います。
企業ごとにカスハラ対応のガイドラインを作成
――協会で新たに取り組んでいることはありますか。
今年から協会が中心になり、各企業がカスハラのガイドラインを作り始めています。扱う商品やサービスへの考え方は企業ごとに異なるので、自社に合った対応マニュアルを作る必要があります。本当にお客さまが言っていることがまっとうなら対応は必要だし、過剰要求や虚偽なら拒否しなければなりません。
――クレームがカスハラにあたるかどうかの見極めは難しそうです。
難しいですが、悪質化するクレーマーが発するアラートはいくつかあります。私が講演で話すアラートは、名前や連絡先を言わなかったり、「誠意を示してほしい」とは言うけれど具体的にどうしてほしいか言わなかったり、上司や社長を出せなどとしつこく迫ったりなどです。