「神対応間違いだった」元お客様相談室長の警鐘 「悪質クレーマー」から中小企業をどう守るか
客からの暴言や暴行、不当要求などで働く人の就業環境を害するカスタマーハラスメント(カスハラ)。クレームに対するお詫びとして多量の菓子を渡す慣習を断ち切り、業界全体のルールづくりに取り組むのが菓子業界だ。
菓子業界の消費者対応を行う「日本菓子BB協会」は2017年、菓子の現物がなければかわりの商品を送らないという共通ルールを決めた。カルビーでお客様相談室長を務めた経験もある、日本菓子BB協会のアドバイザー・天野泰守さんに悪質クレームの実態や取り組みを聞いた。
「顧客創造」のため、菓子を送る慣習がエスカレート
――業界の共通ルールを決める前は、悪質クレームにどう対応していたのでしょうか。
クレームがあった商品のお詫びとして、たくさんの商品の詰め合わせを渡す慣行がありました。
工業製品と違い、お菓子は焼いたり揚げたりする過程でどうしても形にばらつきが出ます。お客さまの主観による「欠けている」とか「味が合わない」などの要望を全部受け入れてしまっていたんです。
本来なら現物を送ってもらって原因究明・再発防止策を行うべきなのに、現物がなくても商品を送っていました。「たくさんの商品をあげればお客さまが喜ぶ」とか、「顧客創造のため」という理由をつけてエスカレートしていったのです。菓子は非常に多くの種類があり単価が安いです。単価の安さから安易な理不尽なクレームに対しても強く言えなかった面があったと思います。
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