「神対応間違いだった」元お客様相談室長の警鐘 「悪質クレーマー」から中小企業をどう守るか

「顧客創造」のため、菓子を送る慣習がエスカレート
――業界の共通ルールを決める前は、悪質クレームにどう対応していたのでしょうか。
クレームがあった商品のお詫びとして、たくさんの商品の詰め合わせを渡す慣行がありました。
工業製品と違い、お菓子は焼いたり揚げたりする過程でどうしても形にばらつきが出ます。お客さまの主観による「欠けている」とか「味が合わない」などの要望を全部受け入れてしまっていたんです。
本来なら現物を送ってもらって原因究明・再発防止策を行うべきなのに、現物がなくても商品を送っていました。「たくさんの商品をあげればお客さまが喜ぶ」とか、「顧客創造のため」という理由をつけてエスカレートしていったのです。菓子は非常に多くの種類があり単価が安いです。単価の安さから安易な理不尽なクレームに対しても強く言えなかった面があったと思います。