クックパッド、月280円の有料会員はお得か 150万人がカネを払うネットコンテンツの本質

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クックパッドのトップページ。左カラムのメニューには、レシピ検索以外に“ダイエット”や“料理教室”などのサービスが並ぶ

有料で提供しているコンテンツは、料理レシピにかかわるサービスだ。基本的には無料で閲覧できるが、月額280円(税抜)のプレミアム(有料)会員になると、さまざまな便利機能が使えるようになる。「自分に合うレシピを探しやすくするような工夫がある」。クックパッドの野尻哲也・会員事業部長兼ヘルスケア事業部長は強調する。

プレミアムサービスでは、人気順表示のほか、デイリーアクセス数ランキングや「つくれぽ」と呼ぶ、実際につくってみたユーザーのレポートが多いレシピの閲覧、「お気に入り」として保存しておけるレシピ件数の拡大(無料は20件まで、有料は3000件まで)などが可能となっている。「無料でもすべてのレシピを新着順に見ることができるが、プレミアム会員なら、特に人気のあるレシピを簡単に見つけることができる」(野尻氏)。

実際、利用者の評価は高い。今年からプレミアムサービスを使い始めたという20代のビジネスウーマンは、「人気のあるレシピが簡単に探せるようになった。時間を買うような感覚がある。便利になったので、クックパッドを利用する頻度が以前よりも上がった」と言う。

2人の子どもを育てながら働く30代の女性はこう話す。「忙しい中で毎日の献立を組み立てるには手放せない。プレミアムサービスでなければ話にならないので、かなり長く使っていて、おカネを払うのはもはや習慣化している」。

この4年間で会員数が3倍超に

そんなクックパッドのプレミアム会員は、ざっと150万人(2014年末)。2010年末ごろは50万人前後だったが、ここ4年で100万人程度が新たに加入し、3倍超に広がった。ちょうど日本でスマホが爆発的に普及した流れと符合しており、クックパッドを無料で利用するユーザー数自体が増えたこともあるが、それでも飛躍的な伸びといえる。

クックパッドの収益源は、サイト閲覧に伴うネット広告と有料会員収入の2本柱。8カ月変則決算の前年度(2014年12月期)でいえば、クックパッドの単体売上高約60億円の56%(33億円)が会員事業によるもので、前年からは34%伸びた(連結売上高は67億円)。もはや収益の半分を有料コンテンツが稼ぐ。150万人が年会費に換算して1人当たり3360円を払うとすれば、年間約50億円に相当する。有料化に苦戦する多くのメディア企業には、うらやましいかぎりだ。

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