高学歴・理系エリートがカルトにハマる意外な訳 「論理」だけで世界を理解する危うさがある
論理だけで世界を理解する危うさ
無数に出版されたオウム関連本を読んでいくと、「なぜ理系で論理的な彼らが……」といったフレーズをよく目にします。しかし、むしろこれは理系だからこそと理解するべきです。オウムが理系の学生をとくに狙って勧誘したという背景もありますが、多くの理系の学生が教団に導かれていったのには、それなりの理由があります。
理系の学問は参入障壁が高いものの、一度そこを乗り越えれば途端に面白くなり、知的刺激が高まっていきます。無我夢中でペンを走らせ数式を解いていくと、極めてシンプルな原理原則から複雑な現象が説明できることがわかり、どんどんのめり込んでいく学生も多い。
古典物理学における力学など、究極的には3つの原則(ニュートンの運動法則)から数学を駆使することですべての法則を導くことができ、複雑な自然のありようが説明され、しかも実験により実証されていきます。こうしたシンプルさと美しさ故に、自然科学のすごさを過信してしまうどころか、神の姿を見る人さえいます。
しかし、それだけ美しく表現できる範囲は、残念ながら非常に限られてもいます。しかも、その限られた世界でさえ、得られるものは仮説です。
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