ディズニーが「独自動画」強化に招き入れた人材 「ドライブ・マイ・カー」のプロデューサーが転身

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――劇場と動画配信との違いについては? 配信は基本的に会員向けとなり、また、視聴者の視聴行動のデータを豊富に取れます。

動画配信だからといって、特定の観客に向けて作るとはあまり考えていない。データもそれほど意識しない。物語には独特のうねりや、たどり着くべき場所があり、それらを大事にしたい。

これまでの自分のスタンスとあまり変化はないんですよ。「物語中心主義」で、1本1本丁寧に作っていきたい。

今秋から配信が始まった阿部寛さん主演の『すべて忘れてしまうから』は、スーパー16ミリメートルフィルムで撮影しており映像として本当に豊か。暮らしの中のささやかな出来事の重要さを改めて語りかけている。主人公が最終的に得るものは、僕個人にとっても感動的なものだと感じる。『シコふんじゃった!』は、いわずとしれた周防正行監督の30年前の名作を、男女中心の物語に語り直す。ディズニーでいえば『クール・ランニング』のような、若者が一致団結していく青春ストーリーだ。

面白いものを作れば、世界で観てもらえる

ディズニーに転身した山本晃久氏
10月28日「東京国際映画祭」で開かれたトークセッションでの様子(編集部撮影)

――これまでは日本発で世界に注目されるのはアニメが多く、ドラマは少ないように感じます。

われわれも始めたばかりで、一生懸命作っていくということしかない。自分の心情としても面白いものを作っていければ、いろいろな国の人に観てもらえると信じている。

日本で物語を作ると、自然と日本らしくなる。他方で、世界に向けて作るという意識はあまりない。もう本当に、愚直に面白いものを作るだけ。自分の中に育てたさまざまな「観客」が観たいと思うものをいかに作っていくか。そのためには、自分の中の観客性が豊かじゃないとだめだという意識をずっと持っている。

――今後はどんな作品を作っていきたいですか。

12月28日からはサイコスリラーの『ガンニバル』の配信が始まる。骨太なヴィレッジ・サイコスリラーで、メチャクチャ言いたいことがあるが、とにかくワクワクして待っていてほしい。

(ディズニーでは)年間何本作れというノルマのようなものはない。自分たちが最善を尽くし作れる時期にきちんと作る。スタッフとキャストの心を1つにして、作品にケミストリー(化学反応)をもたらす。プロデューサーとして、毎回緊張感を持ちながら作品に向き合っていきたい。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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