ディズニーでの仕事はドラマの配信が中心になると思う。僕自身、これまで映画だけでなく、ドラマも作ってきたので、(映画とドラマの)垣根は感じない。ただ両者は「語る時間」が違う。ドラマは劇場より何倍も長い。1話ごとに区切り、次を観てもらうために1話ごとの盛り上がりも必要になる。
ドラマの最大の利点は、登場人物のキャラクターをより深く掘っていけるところだ。
僕がかつて衝撃を受けたドラマに、『ブレイキング・バッド』というアメリカのテレビドラマがある。登場人物の人間性が深く描かれ、しかもその関係性が大きく変わっていく。そして視聴者がその目撃者になる。
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のような読後感。ドラマを見終わったときは、登場人物の人生の秘密が、こちら側に開かれているという感覚になった。
映画でも可能だが、ドラマであればより丁寧に人物を描いていくことができる。それは恋愛ドラマでも、コメディでも、ホラーでも、ジャンルは問わない。
1日で脚本15ページを撮る日本の現場
――成田さんと共有する「業界が抱える問題」とはどういうことですか。
作品を作るときに十分な準備期間がなく、クオリティを上げられるのにそれができないという歯がゆさがあった。いろいろな事情があるが、そこは資金面、さらに業界に関わる人たちの意識の問題が大きいと思う。
『ドライブ・マイ・カー』は準備という意味ではいい時間がとれたといえるが、撮影日数は40日程度。これを海外の人に言うととても驚かれる。海外では撮影に最低で2カ月、通常は3カ月以上かけるからだ。
撮影ペースは、古い時代には1日で脚本の2~3ページを撮っていたと聞く。そうすると役者もスタッフも集中できる。でも、僕は1日15ページ分を撮ることもあった。どう撮ればいいんだろう、そういう状況があった。
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