3期目入り習近平「強気外交」に見え隠れする本音 欧米や日本との関係修復へ動く可能性が高まる

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3期目の習近平の中国にとっての最大の課題は、引き続き、国内の経済発展である。そのためには、安定的な国際関係、特に、欧米諸国との関係をマネージすることが不可欠である。したがって、今回の報告に見られる対立的で勇ましい外交方針とは裏腹に、3期目の習近平外交は、上手くいっていない外交を微修正してくる可能性が大きい。

すでに、最近でも、9月中旬の上海協力機構首脳会議では、ウクライナ侵攻で国際社会から批判を受けるロシアとの微妙な距離感が目立った。9月下旬の国連総会の機会では、王毅国務委員兼外交部長は、アメリカやドイツ、オーストラリアといった「関係の難しい」国との外相会談を行っている。

日本との関係でも、秋葉剛男・国家安全保障局長の訪中を受け入れたり、安倍晋三元首相の国葬に代表を派遣したりするなど、気を遣っている様子がうかがえる。


今回の報告に見られた、大国外交や「戦狼外交」は国力に自信をつけた中国国内の求めるものであり、強気の習近平外交は継続するだろう。しかし、中国としては日本や欧米諸国との関係を悪化させることは望んでいないというのが本音であろう。

権力集中が進んだだけに妥協も容易

ましてや、一層の権力集中を固めた習近平は、中国の国益のために必要とあれば、国内を押さえ、妥協することも容易になったと言える。実際、党大会直後の「米中関係全国委員会」に習近平は祝辞を寄せ、アメリカとの協力と意思疎通の強化を呼びかけた。

10月末には、王毅国務委員はアメリカの駐中国大使と会談、ブリンケン国務長官と電話会談を行っている。11月1日にもフランスのコロンナ外務大臣と電話会談した。日本としては、中国との間で受け入れられるものは受け入れ、受け入れられないものは受け入れないという是々非々の対応を続けていくべきである。

同時に、国際関係をマネージしたいという中国の本音を念頭においておく必要がある。日中双方が、お互いの意思について疑心暗鬼とならないように意思疎通を続けていくことも不可欠である。習近平に権限を集めた中国であれば、習近平との直接のやりとりが今まで以上に重要であることは言うまでもない。

町田 穂高 パナソニック総研 主幹研究員

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まちだ・ほたか / Machida Hotaka

東京大学卒業後、2001年に外務省入省。高校時代に観たTVドラマ『大地の子』で聞いた中国語の発音に魅せられ、入省後は中国語を研修。中国・南京大学及び米国・ハーバード大学(修士号取得)に留学。中国・モンゴル課、日米地位協定室、国連代表部、在中国大使館(2回)などで勤務。「日中高級事務レベル海洋協議」の立上げや「日中海上捜索・救助(SAR)協定」の原則合意に関する交渉を担当・主導した。2022年4月に外務省を退職し現職。地経学研究所(IOG)主任客員研究員を兼任。

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