ECBはインフレ率2%を確実にするまで金利上げる 物価安定は経済がスムーズに機能していく基盤

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欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、同中銀の今回の利上げサイクルにおけるピーク時点の金利はインフレ率が中期的に2%の目標に戻ることを確実にするものでなければならないと述べた。

いわゆるターミナルレートの具体的水準には触れず、政策金利はさらに上昇すると述べるにとどめた。ECBは先週、2会合連続の0.75ポイント利上げを実施した。

総裁はラトビアのニュースサイト、デルフィ・ビジネスとのインタビューで、「目標地点は明確であり、われわれはまだそこに達していない」と語った。インタビューの内容が1日に同サイトに掲載された。

  

ユーロ圏のインフレ率は10月に予想を上回る10.7%に達した。成長は減速しエネルギー危機で冬季のリセッション(景気後退)入りが広く予想される中でも物価上昇の勢いは衰えなかった。

ラガルド総裁はリセッション確率が高まったと認めつつも、インフレを座視することの危険を強調。物価安定は「経済がスムーズに機能し、全ての人が恩恵を受けるための基盤だ」と述べた。

「インフレ率はユーロ圏全体でまだあまりに高い」とし、「インフレ率の高止まりが長期化すればするほど、それが経済全体に広がるリスクが大きくなる。そうなれば個人と企業の将来のインフレ期待も高まり始め、これは危険だ」と語った。

金利上昇で住宅ローンや企業の借り入れの負担が増しているが、銀行の状況は2008年の危機前の段階よりは強固だと総裁は指摘。それでも、「油断は許されない」とくぎを刺した。

また、生活費高騰の中で打ち出す財政支援について、政府はそれが一時的かつ最も必要とする層に的を絞ったものであるように留意することが必要だとも論じた。

シュナーベルECB理事はドイツのラジオ局ドイチュラントフンク(DLF)に対し、ECBは政策金利を第一の手段として「インフレのダイナミクスを制御しようとしている」と説明した。

また、地政学的状況と世界の貿易の仕組みが変化しつつある時期にはECBが物価予測に用いている経済モデルに限界があると指摘。「モデルが前提としている全ての仮定が正しいと確信しているわけではなく、常にモデルを改善しようと取り組んでいる。しかし、モデルに限界があることも知っておく必要がある」と語った。 

原題:Lagarde Says ECB Rate Peak Must Ensure Inflation Goes to 2% (1)、Lagarde Says ECB’s Rate Peak Must Ensure Inflation Returns to 2%(抜粋)

(シュナーベル理事の発言を追加して更新します)

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著者:Aaron Eglitis

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