
ラジオを聞くと脳が鍛えられるワケとは?(写真:Syda Productions / Imasia)
脳神経外科医の板倉徹氏(和歌山県立医科大学名誉教授)によると、脳を鍛えるには「ラジオ」が最適だという。ラジオはスマホやテレビなどと違って聴覚情報しかないため、それを補うために脳全体が活発に働くというのだ。逆にテレビをボーっと見続ける“テレビ漬け”の毎日では、脳が機能低下し認知症へまっしぐら――ということになりかねないという。
では、どのようにラジオを聞けば脳の活性化につながるのか、ラジオを聞く以外ではどのようなことが脳にいいのか、『ラジオは脳にきく――頭脳を鍛える生活術』(東洋経済新報社)などの著書もある板倉氏に話を伺った。
「ラジオが脳にきく」理由
――なぜ、ラジオを聞くと脳が活性化するのでしょうか?
ラジオは情報が音声だけで、映像がありません。そのため、音を聞いたら、頭の中でさまざまなことを想像しなければなりません。いわゆる「場面想像」という働きです。この働きが、脳をより一層活性化させると考えられます。
光トポグラフィの写真を分析すると、ラジオニュースを聞いているときに、創造性などをつかさどる「前頭前野」と呼ばれるところがよく活性化されていることがわかります(光トポグラフィとは、近赤外光を使用して前頭葉の血流量の変化パターンを可視化する検査)。

ラジオニュースを聞いているときの光トポグラフィ写真。前頭前野が活性化していることがわかる(赤い部分が活性化されているところ)
――テレビやスマホではだめなのでしょうか?
テレビは映像による情報が一瞬のうちに脳に入り、想像という過程がありませんので、ラジオほど脳は活性化されません。光トポグラフィによる分析でも、その違いは明らかです。

テレビニュースを見ているときの光トポグラフィ写真。ラジオニュースを聞いているときと比べ、前頭前野の活動が明らかに弱くなっている
テレビをただボーっと見ているのは、脳によくありません。
――ラジオを聞くと、脳のどの部分が活性化するのでしょうか?
最も人間らしい脳といえる「前頭前野」がよく活性化します。
前頭前野は創造性、やる気、実行能力、感情のコントロール、決断などと関係の深いところです。仕事の能力などにも直結している「脳」といえるでしょう。
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