長寿者が多い「5大地域」で判明した意外な共通点 "百歳人"に学ぶ元気で長生きするヒント

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ブルーゾーンの1つ、日本の沖縄についても触れておこう。

2000年まで長寿日本一、イコール長寿世界一であった沖縄が、長寿から転落していることはよく知られる。が、実は75歳以上は男女とも依然として日本一をキープし、65歳以上の平均余命でも男性は第2位に甘んじるが女性は第1位であることはあまり報道されない。

沖縄のスローライフ、伝統文化、精神性、相互扶助社会はまだ健在の部分も多くある。慌ただしく時間に追われることのない「ウチナータイム」(沖縄時間)があり、日が昇れば活動し、日が落ちたら体を休めるというように、自然のリズムに逆らわない暮らしがここにはある。

地域の伝統行事や模合(もあい)に象徴される会合は盛んで、強固なソーシャルネットワークに支えられ、ストレスが少なく長寿者は活き活きとしている。

ブルーゾーン長寿者はウェルネス長寿者

私は福島県で生まれ、大学まで東京で過ごした。初めて沖縄を訪れたのは27歳だった。この沖縄の旅は、次の生き方を模索する放浪の旅の途中でもあった。ところが、フェリーで上陸したその日から「イチャリバチョーデー」(一度会えばみな兄弟の意)で盛大に歓迎され、「ユイマール」(相互扶助の精神)に支えられ、気づけばそのまま移住、現在に至っている。今思うに、私自身がブルーゾーンへの旅で、人生が変わった1人でもあったのだ。

ダン・ビュイトナー氏とは、彼が2000年に沖縄の取材に入った際に、長寿村として知られた大宜味村への取材に同行した。当時私は医学研究科の博士課程生で、沖縄県庁が毎年100歳となった長寿者全員を調べるという健康調査の分析を担当していた。百歳人1813名を分析した世界最大規模の超長寿者疫学研究[6])のなかには、ビュイトナー氏が“ブルーゾーンのシンボル”と慕う当時104歳の奥島ウシおばあも含まれる。

この沖縄での疫学研究で医学博士号を取得した私だが、その後この研究からはしばらく離れ、近年は「ウェルネス」(輝く人生、自己実現)を研究のテーマにしている。

健康を身体の側面だけでなくより広義に捉えるこのウェルネス概念をどう説明するかに試行錯誤していたところ、ブルーゾーンに暮らす長寿者の知恵、そして、存在そのものが最良の教科書であることがふと頭の中で“つながった”。ただ長生きではない、「ブルーゾーン長寿者」は、「ウェルネス長寿者」なのだと。こうして巡り巡って今ふたたびブルーゾーンとつながることができたのである。

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