お辞儀も同じです。ペコペコと何度も繰り返し頭を下げる様子は、丁寧というより情けない姿に映ります。信頼感の演出とは程遠いものです。礼の美しさは「止め」にあります。このリーダーに任せよう、ついていこう、という信頼感は「止め」から生まれるのです。
この言葉でこんなジェスチャーをしよう、話がここまで進んだらこの資料を指し示そう、というように、身体を「動かす」箇所を考えるだけでは不十分です。どこで身体を止めるか、すなわち「動かない」箇所についても、人前で話すときにはぜひ考えてみてください。
「まばたきをしない」ことも、この「止める」表現の1つです。それまで話しながらまばたきをしていたのが、名前を名乗るときになると、まばたきが止まる。このメリハリによって、名前の部分が際立って伝わります。
このことを応用して、人前で話すとき、強調したいフレーズを述べる場面でまばたきをしないようにしてみましょう。目を見開き、まばたきもせずに力説するのです。
強調したいフレーズを文末にもってくる
「いまは苦しいところだけど、ぜひみんなで力を合わせて乗り越えてほしい」
「確かに簡単なことではないが、私たちならできると信じている」
このように、強調したいフレーズを文末にもってきます。そして、その最後だけ目を見開いて、まばたきせずに言い切るのです。
さらにやるなら、強調したいフレーズの前に目を見開いて、フレーズを言い終わった後に静かに目を閉じてみてください。そうすることで、話したフレーズが余韻となって、より聞き手の印象に残るはずです。
なお、「止める」状態をつくるのは、身体だけでなく、服装や身の回りの物についても同様です。注意すべきは女性の装身具。耳元でイヤリングやピアスがゆらゆらと動いて揺れていると、そこにばかり聞き手の注意が集まってしまいます。どれだけ美しく気品があっても、信頼性を高めたい場合は、動かないタイプの装身具を身につけるようにしましょう。
「身体マネジメント」では、ジェスチャーも重要です。信頼感を得られるジェスチャーは、両手で行います。
人前でジェスチャーをしながら話をするとき、とくに意識しないと大半の場合、片手だけを動かします。利き手にマイクやポインターなどを持ち、反対側の手が動いているというケースも多いでしょう。話が盛り上がって熱がこもってくると、利き腕を力いっぱいブンブン振り回す方もいます。
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