トヨタ式「紙1枚」で問題解決!3つの大切な要素 考え抜いて変化に対応する人が求められる時代

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「要するに?」「煎じ詰めると?」「結局のところ何が言いたいのかというと?」

といったツッコミを資料や自身に入れ続け、削れるところを見つけては削除していく。あるいは、共通の言葉でまとめられそうなものがあれば集約していく。そういった地道なプロセスを何度も繰り返していくなかで、次第に3枚が2枚になり、最終的には「紙1枚」へと仕上がっていくのです。

「紙1枚」を起点に「考え抜く力」を培っていく

ここで重要なのは、結果的に「紙1枚」に収まるかどうか、ではありません。その過程で、資料の各文言や各項目・テーマ、ひいては自身の担当業務の根本について深く考えられるところに、その真髄があります。

「紙1枚」という「制約」があるからこそ、浅い考えのままではそもそも資料がつくれず、したがって周囲ともコミュニケーションがとれず、結果的に仕事自体がまともに進められないようになっている。

今こうやってあらためて言語化してみても鳥肌が立つくらい、「紙1枚」を起点に「考え抜く力」を培っていくトヨタの文化・仕組みは、じつに見事だと思います。

よく誤解されるのでこれを機に明記しておきたいのですが、「紙1枚」は、「これに埋めればOK」といったテンプレート思考のツールではありません。むしろ、フォーマット信仰は、「考え抜く力」とは真逆の「思考停止」を促すリスクがあります。

テンプレ思考は、次に紹介する二宮尊徳の言葉でいえば、

書物の注釈というものは、また氷に氷柱(つらら)が下ったごとく、氷の解けてまた氷柱となったのと同じで、世の中を潤さず、水の用をなさない
(中略)
氷となった経書を世の中の用に立てるには、胸の中の温気(うんき・暖かみ)をもってよく解かしてもとの水として用いなければ世の潤いにならず、実に無益のものだ。
(中略)
それゆえ、わが教えは実行を尊ぶ。

学びを水に溶かすことなく、氷柱(つらら)のまま活かそうとしているようなものです。これでは、うまく自分の業務に適用・応用することができません。

そうではなくて、思考を促す「制約」としてあえて頭を困らせ、脳に汗をかくための「縛り」として活用していく。「考え抜くこと」こそが、その本質なのです。

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