3人以上の比率が高まっているというのであれば、政府の子育て支援による少子化対策は効果をあげているのでは?と一瞬思いがちですが、むしろ逆です。第3子の比率があがっているからこその少子化なのです。
なぜなら、全体の出生数がこれほどまでに減っている理由は、第1子が生れていないためだからです。長期の出生順位比率をみても、近年は第1子の比率だけが下がっています。第1子が生れなければ、当然第2子は生れません。第3子以降も同様です。
つまり、出生数は第1子の出生が少なければ、全体の出生数を底上げすることはないのです。婚外子の極端に少ない日本においては、第1子の出生が少ないということはすなわち婚姻数の減少によるものです。
約9割の初婚女性が第1子を出産
というと「結婚したからと言って必ずしも子を産むわけではない。産まない選択をする夫婦もいるし、望んでも授からない場合もある」という指摘があります。確かにその通りですが、結婚した女性が全員必ず出産するなどとは申していません。
とはいえ、マクロ的に見れば、第1子の出生数と女性の初婚数とは密接に相関しますし、その相関係数(1960~2021年)は限りなく最大値の1に近い、0.9762にもなります。
第1子出生数を女性の初婚数で除した「対初婚第1子出生率」でみれば、第2次ベビーブーム期のほぼ100%に近い状況には及びませんが、1990年代に比べれば、2021年実績でも89%とほぼ9割の初婚女性が第1子を出産していることになります。
つまり、少子化対策というのであれば、初婚数の増加を図らなければ効果がないということになります。ちなみに、2019年だけ突出して低いのは、令和婚効果の影響で婚姻数が一時的に増えたことによります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら