もちろん、子育て支援は重要であることは言うまでもありませんし、少子化があろうとなかろうと子育て支援はやるべきものです。しかし、子育て支援をすれば少子化が解決するという因果もありません。問題の本質を見誤ってはいけないと考えます。
そもそも「産み控えがある」などという事実は、一体どこにあるのでしょうか?
確かに、出生数そのものは減少し続け、2021年の確定値では81万1622人と、戦後最低を更新し、合計特殊出生率も過去最低だった1.29に迫る1.30という低迷ぶりでした。しかし、この出生数や出生率の低下は「産み控え」によるものではありません。
問題の本質は「少母化」にある
結論からいえば、問題の本質は「少子化ではなく少母化」であり、出生数の減少は、出産して母親となる女性の絶対数が減っていることに起因します。
出生のほぼ9割を占める15~39歳で説明しましょう。1人以上の子を出産した15~39歳の母親の数は、国勢調査の同居児数集計に基づけば、1985年には約1060万人いました。それが、2020年には約423万人にまで減っています、実に60%減です。
100人いた母親が2人ずつ産めば子どもは200人になりますが、現在たった40人しかいない母親がたとえ一人3人産んでも、子どもの数は120人にしかなれません。出生数が減っているのはそういうことです。200人の子を産むには1人最低5人を生まないといけない計算になります。それは無理というものでしょう。
そもそも、「産み控え」どころか、母親一人当たりが産む子どもの数は減ってはいません。
直近2021年の出生順位別の構成比でいえば、第3子以上の出生構成比は約18%と、およそ30年ぶりの高水準で、1970年代前半の第2次ベビーブーム期の15~16%より多い。つまり、子を産んでいるお母さんたちは1970年代よりも3人以上を産んでいるというのが事実です。
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