日本人が陥る「朝食抜き」「短時間睡眠」のリスク メタボのリスクは男性で約3割、女性も2割増

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朝食は、3食の中でいちばん欠食することの多い食事です。ある人は、「ダイエットのため」意識的に朝食を抜き、ある人は「食欲がわかないから」と成り行き任せ。ぎりぎりまで寝ていて「作る時間も、食べる時間もない」という確信犯もいます。朝食をとっているという人でも、サプリメントを朝食代わりにしているという人もいて、食事の内容にも大きな差があります。

朝食を食べない人の割合は男性で14.3%、女性で10.2%。年代別では、男性は40代が最も高く3人に1人、女性は30代が最も高く5人に1人以上でした。

対象をひとり世帯の人に絞ると、この割合はさらに上がります。40代の男性ではなんと半数、20代女性の3人に1人以上が、朝食をとらないで一日の活動を始めています(「令和元年 国民健康・栄養調査」厚生労働省)。

むしろ肥満になりやすい

朝食抜きの習慣のいちばんの問題は、体内時計がリセットされないということです。時間栄養学の視点では、朝食をしっかりとって体内時計をリセットし、日中の活動に備えて十分にエネルギーを燃やせるよう朝のリズムをつくることが重要です。

朝食をとらないと、肥満やメタボになりやすいことも、国内外の多くの研究で明らかになっています。

ラットの研究で、活動期(ヒトにとっては朝)に食事を与えた場合と、4時間遅らせて「朝食をとらない状態」にした場合とで、体脂肪がどう変化するかを調べたところ、食事量は変えず、食事の時間だけをずらしただけなのに、朝食をとらないラットは体脂肪が増加するという結果になりました。

体内で何が起きているかを調べると、肝臓の末梢時計の時計遺伝子がリズムよく働いていないこと、脂質をエネルギーに変える代謝のリズムが乱れていたことがわかりました。

また、体温の上昇にも異変がみられました。通常、体温は活動期(ヒトでは朝)に高くなり、休息期(夜間)に低くなりますが、朝食をとらないラットはなかなか体温が上がらず、まだ食べている最中にもかかわらず体温が下がってしまうなど、体温が高い時間が短くなってしまいました。体温が低いままだと、脂肪を燃やす酵素も十分に働かなくなります。こうした体の中の反応が、体脂肪を増加させた要因ではないかと推測されています。

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