コロナとインフル「75万人感染」想定に尽きぬ不安 同時爆発に対する政府対応策の実効性は不透明
岸田政権肝煎りの「全国旅行支援」が本格的に始まった。新型コロナウイルスの水際対策が緩和されたことで訪日外国人も徐々に戻り、観光地はコロナ禍前の活気を取り戻しつつある。
そうした中で政府は10月13日、驚くべき数字を公表した。この冬、新型コロナの第8波とインフルエンザの流行が重なった場合、最悪のケースとしてそれぞれの感染者数の合計が75万人(1日当たり)に上るという試算だ。
想定の内訳は新型コロナが45万人、インフルが30万人。コロナについては、2022年夏にもっとも感染状況が悪化した沖縄県と同規模の感染が、全国で起こった場合の推定値だ。インフルに関しては、直近5年間でもっとも流行した2018、2019年の数字を参考にしているという。
夏には「1日26万人」で逼迫状態
1日75万人の感染が実際に起こるかは専門家の間でも見解が分かれる。だが、どちらも過去の実例を基にした推定という点では、まんざら現実離れした数値でもないだろう。
そもそも、この冬は過去2年とはまったく異なる流行条件がそろっている。コロナの感染拡大以降、人の移動が抑えられていたこともあり、インフルは世界的にもほとんど流行が見られなかった。
しかし今年は国内外での人の行き来が再開し、屋外ではマスクを外す動きも一部で広まりつつある。実際に南半球のオーストラリアでは今年の春夏にかけ、インフルの感染者数が過去5年を大きく上回る規模の流行が見られた。
国内では今年8月、新型コロナの1日当たり新規感染者数が過去最多の約26万人を記録。ワクチンの普及などにより死亡率は下がっているものの、感染者数自体が増えたことで死亡者も増加した。急速に感染が広まり、地域によっては療養先の調整や病床の活用が間に合わないケースも生じた。
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