転職するなら「外資系企業がおすすめ」納得の理由 「ヘッドハンター×大学教授」転職対談:前編

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植田:実際問題、60歳を超えてからの人生がどういうものになるかは、それまでのサラリーマン人生と密接にかかわってくるので、「人生100年時代」が現実味を帯びてきた今の時代は、早い段階で第二の人生について準備を始める必要があると思っているのです。

大手外資系では人事制度が「フェア」に運用されている

植田:そのうえで、選択肢として外資を転職先としてすすめるのには、いくつかの理由があります。

植田 統(うえだ・おさむ)国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授。1957年東京都生まれ。東京大学法学部を卒後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後、外資系コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現PWCストラテジー)を経て、外資系データベース会社レクシスネクシス・ジャパン代表取締役社長。そのかたわら大学ロースクール夜間コースに通い司法試験合格。外資系企業再生コンサルティング会社アリックスパートナーズでJAL、ライブドアの再生に携わる。2010年弁護士開業。14年に独立し、青山東京法律事務所を開設。 近著は『2040年 「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)(撮影:尾形文繁)

中でも、まずは人事制度がフェアであることが重要なのではないかと感じています。日本に進出している外資系企業というのは、本国ではかなり大きな会社です。中途採用や解雇など、その大きな企業で長年運用されてきた人事制度の中に取り込まれるので、アンフェアな取り扱いを受けることが少ないのです。この外資大手の安定感は、転職経験の薄い人には魅力的なはずです。

ただし、外資系といっても日本での歴史が長く、何千人もスタッフを抱えているところは、中身はほとんど日本企業に近くなっています。忖度文化もはびこっているし、妹尾さんのおっしゃる「修羅場」を経験するダイナミズムに欠けるかもしれません。

「修羅場」を求めるのであれば、先ほども言ったとおり、コンサルティングファームやインベストメントバンク(投資銀行)へ行くのがおすすめですね。特にインベストメントバンクでは給与体系が成果給なので、ものすごい金額のボーナスをもらう人もいますが、成果が出なければすぐクビになってしまうので、毎日が修羅場です。

妹尾:確かにおっしゃられるとおりですね。私も外資系のファームにいた時間が長いのでよくわかります。

日本では「外資=クビ切り」というイメージが蔓延っていて、雇用の安定性がないというイメージがあります。たしかにそういう会社もあります。

でも、植田さんがおっしゃるように、大手であればグローバルな人事制度の下に入ることになるので、ある意味でフェアな評価を受けることができる。こういったことは、意外と知られていませんよね。

この件に限らず、日本の方は外資系企業の実態について、あまり詳しくは知らないように思います。中には、大きな誤解をされている方も少なくないようなので、次回はこの点をテーマにお話を進めていきましょう。

妹尾 輝男 ヘッドハンター、コーン・フェリー元日本代表

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せのお てるお / Teruo Senoo

1975年、横浜国立大学卒業。ロンドン、バミューダ諸島、東京にて石油製品トレーディング会社に勤務した後、1988年、スタンフォード大学で経営学修士(MBA)取得。ベイン・アンド・カンパニーを経て、世界最大の人材組織コンサルティング会社コーン・フェリーに入社。

同グループで30年以上、主にグローバル・トップ企業のエグゼクティブ・クラスを対象に、ヘッドハンターとして第一線で活躍。その間、日本法人社長を9年間、会長を1年間務め、現在は特別顧問。ヘッドハントしたエグゼクティブの数は400人を超える。

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植田 統 国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授

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うえだ おさむ / Osamu Ueda

1957年東京都生まれ。東京大学法学部を卒後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後、外資系コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現PWCストラテジー)を経て、外資系データベース会社レクシスネクシス・ジャパン代表取締役社長。そのかたわら大学ロースクール夜間コースに通い司法試験合格。外資系企業再生コンサルティング会社アリックスパートナーズでJAL、ライブドアの再生に携わる。2010年弁護士開業。14年に独立し、青山東京法律事務所を開設。 近著は『2040年 「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)。

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