転職するなら「外資系企業がおすすめ」納得の理由 「ヘッドハンター×大学教授」転職対談:前編

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妹尾:いまのお話を聞いていて、『世界は悪ガキを求めている』の中で紹介した、鮭と鱒の話を思い出しました。

サクラマスという魚をご存じですか? 富山の名産「ますのすし」の材料になる魚なのですが、生れたときは、実は川魚の中では比較的ポピュラーなヤマメと「同じ魚」なのです。

妹尾 輝男(せのお・てるお)ヘッドハンター、コーン・フェリー元日本代表。1975年、横浜国立大学卒業。ロンドン、バミューダ諸島、東京にて石油製品トレーディング会社に勤務した後、1988年、スタンフォード大学で経営学修士(MBA)取得。ベイン・アンド・カンパニーを経て、世界最大の人材組織コンサルティング会社コーン・フェリーに入社。同グループで30年以上、主にグローバル・トップ企業のエグゼクティブ・クラスを対象に、ヘッドハンターとして第一線で活躍。その間、日本法人社長を9年間、会長を1年間務め、現在は特別顧問。ヘッドハントしたエグゼクティブの数は400人を超える(撮影:尾形文繁)

どういうことかというと、川で生まれたヤマメの一部が海に出て、数年の後に生まれた川に戻ってくるのがサクラマスで、戻ってきたときには体が何倍にもなっているのです。ヤマメは成長しても体長はせいぜい30cmくらいにしかならないので、その差は歴然です。

稚魚にとって、海には川よりも数段困難な環境であることは想像に難くありません。実際、川に残ったヤマメに比べ、生き残って戻ってこられるサクラマスの個体数は圧倒的に少ないといいます。つまり、大海原でさまざまな試練と困難に打ち勝った証が、ヤマメより数段大きく成長したサクラマスの姿そのものなのです。

もちろん、人間と魚の成長過程を同一にとらえるのは適切ではありません。でも、修羅場を潜り抜けてきた経験が人間を育てるというのは、世界で活躍している「悪ガキ的リーダー」のことを思い起こすと、間違いのない事実のように感じます。

植田:修羅場経験という意味では、外資のコンサルティングファームやインベストメントバンクだと、嫌と言うほど味わうことができます(笑)。

修羅場を経験したければ外資へ行け

妹尾:ところで、植田さんはご著書『2040年「仕事とキャリア」年表』の中で、「転職の相談を受けたときには、外資に行くことをすすめます」と書かれていますが、どのような理由でそのようにお考えになられているのでしょうか?

私自身の経験から言うと、日本企業にいると修羅場を経験する機会が限られますが、外資だといろいろとイレギュラーなことが起きるので、自分を鍛えるという意味では外資のほうがいいのかなと感じているのですが。

植田:まず、外資にかぎらず私が転職をすすめる理由は、私たちが新卒で社会人生活を始めたころと日本の企業を取り巻く環境が激変してしまい、大企業であったとしても、もはやまったく安泰ではないことが挙げられます。最近では、ホンダのような日本を代表する大企業で、早期退職を募り、2000人規模の社員が退職したことが伝えられています。

その様子を見ていると、年齢が50歳以上に達した社員には、できれば自らの力で残りの人生のキャリアを再構築してほしいという、会社側の明確なメッセージが見て取れます。

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