障がい者に優しい「下町の映画館」その驚きの挑戦 聞こえない・見えない人にどう作品を届けるか
――ということは今はBlu-ray上映ですか?
そうです。ただ配給会社によってはDCP(デジタルデータを用いた上映方式)しか素材がないところもあるんで。東宝とか大手の作品だけでなく、ミニシアター系のインディペンデント系作品でさえも上映できないことがあって。人気のある作品や集客が期待できる作品であっても上映できないというのは結構苦しいものがありましたね。
ただユニバーサル化というのは業界に浸透してきていて。日本映画製作者連盟(映画製作配給大手4社、東宝・松竹・東映・KADOKAWAが所属している団体)なんかでは、2024年以降には音声ガイドも字幕も義務化されるらしくて。
それはつまり、せっかく音声ガイドが作られるようになっても、DCPでしか上映されない作品が多くなるということ。だから今後はそういうメジャーな作品も取り込みつつ、今まで通りミニシアター系のインディペンデント系のバリアフリー作品に対応したい。となるとDCPをそろそろ入れないといけないなと思っていたところだったんです。
――導入はいつ頃を予定しているのでしょうか?
11月15日、16日、17日の3日間、臨時休業とさせていただいて、DCPの設置工事とオペレーションの準備にあてます。DCP上映は、11月18日から『響け!情熱のムリダンガム』と『マイスモールランド』でスタートする予定です。
自分の作品に音声ガイドをつけたくない監督も
――ところで映画制作者側の意識の変化はどうですか?
少しずつ変わってきていますね。最初の頃は、できれば自分の作品には音声ガイドはつけたくないという監督もいらっしゃいました。でもそれは本当にせつない話だなと思っていて。誰も排除しないで、多くの方たちに作品を見てもらいたいという気持ちはみんな一緒ですから。
だからわたしたちはここで上映させてもらうにあたっては、オープン当初から全作品に字幕と音声ガイドをつけているんですと。だからつけなければならないんです、とお話をして。後で残念な結果にならないように、そのためにはやはりできる限り音声ガイドの制作をご一緒させてくださいとお願いしています。
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