障がい者に優しい「下町の映画館」その驚きの挑戦 聞こえない・見えない人にどう作品を届けるか
それで制作をご一緒させていただくわけですが、視覚障がい者のモニターさんと会っていただくと認識がガラリと変わるんですよね。ものすごく作品を細かく、丁寧に見てくれてるなという認識に。しかも音声ガイドを作るにあたり、監督にこのシーンを入れたのはどういう意図があるんですか?などと聞きながら作っていく。
すると監督もそれを言語化する作業をするのに、自分でもどうしてそのカットを撮ったんだろうと考える。それはすごくクリエーティブだし、自分の刺激にもなる。そうやって立ち会っていただいた監督さんは本当に皆さん感謝してくださるんですよね。
やはりそこまでちゃんと見てもらって、いろんな人からどう感じたかということを聞ける機会もなかなかないじゃないですか。だから音声ガイドづくりを体験したプロデューサーさんは、新人の監督さんを連れてきて、これは絶対にやったほうがいいからと勧めてくれたりもしてくれていますね。
目の見えない人にも楽しんでもらう
――そうした流れで今回、『こころの通訳者たち』というドキュメンタリー映画を初プロデュースされました。
映画はいつか作りたいなと思っていたんですけど、まさかこんなに早くチュプキ製作の映画ができるとは思っていなかったですね。今回は山田礼於監督の持ち込みに乗っかったという形なので、自分たちで作ったというよりは、撮っていただいたという気持ちの方が大きいですね。
――今回は、耳の聞こえない人にも演劇を楽しんでもらうために行われた3人の舞台手話通訳者たちの記録映像を、目の見えない人にも伝えられないか? ということがテーマとなっています。
耳の聞こえない方のために演劇のセリフや情景を手話で伝える舞台手話通訳の手話をどうやって音声ガイドにするのか。白紙のところから、どうやって形にするのかと話し合う過程を見ていただけると思います。
無理だと思って諦めずにやってみようという気持ちになれると思いますし、ほかの分野の方にも届くものになったんじゃないかなと思っています。
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