「天神と博多」で同時に大規模再開発が進む背景 2大プロジェクト進行中、福岡市中核部の今
一方、天神では昨年10月、プロジェクト第1弾となる「天神ビジネスセンター」が開業。さらに、同ビルに隣接し天神交差点に面する福岡ビル、天神コアと天神ビブレの両ビル跡地でも、2025年の開業を目指し建替のための工事が進んでいる。
8月30日には、その南側に隣接する「天神イムズ」跡地において、外装にCLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)を用いた木質感が感じられるビルが建設されるとの発表も行われている。
10月19日には、道路を挟んでその西側にある「福岡パルコ」の本館・新館ビルの建替計画が明らかにされている。元々は地元資本だった岩田屋として建設されたもので天神地区を代表するものだった。2026年にも解体されるという。
天神交差点から西に約400mの場所にある大名小学校跡地においては、「福岡大名ガーデンシティ」が2023年春の開業に向け建設工事が進められ、外観がほぼ出来上がっている状況だ。
さて、冒頭で再開発の規模について他の大都市とは「比べるべくもない」と書いたが、その理由の1つが福岡中心部のそれには、東京や大阪では今や当然のようにある超高層建築物の計画がまったくないからである。
なぜ超高層建築物がないのか
それは、空港までのアクセスの良さを持つ福岡市ならではの事情、航空法により建築物に厳しい高さ制限があることに起因している。例えば、前述した博多イーストテラスは10階建てにすぎない。
事情は天神地区でもそう変わらない。空港から4kmほど離れた天神ビジネスセンターやその他の建設中、計画されているビルについても20階建て程度にとどまる。
ちなみに、市内で現在最も高い建物は早良区にある電波塔「福岡タワー」(高さ234.0m)。この他、東区の人工島「福岡アイランドシティ」内に超高層タワーマンションが数棟建設されるなどしているくらいだ。
もっとも、当然のことだが超高層建築物の多さが都市の魅力を表すものではない。他の大都市のような高層ビル群に囲まれた街ではないという点が、どこかのんびりした福岡市らしさを醸し出している。
以上が代表的な博多・天神におけるプロジェクトの進捗状況と今後の計画を中心とする話だ、以下では時をさかのぼってこの2つのエリアの成り立ちについて考察する。そこに「歴史的である」理由が隠されているからだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら