「天神と博多」で同時に大規模再開発が進む背景 2大プロジェクト進行中、福岡市中核部の今

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ところで、9月20日に発表された都道府県の地価調査では、福岡県の上昇率は3.1%と2年連続で全国1位(項目別の上昇率は住宅地で2.5%、商業地で4.0%、工業地で6.3%)となっていた。

東区・立花山から眺めた福岡市の様子(筆者撮影)

県レベルの話であることはもちろん承知しているが、これには県庁所在地である福岡市が推し進める中心部の再開発をはじめとした街づくりが大きく関係していることは想像にかたくない。

このうち、住宅地の地価上昇については九州を中心に県外からの人口流入が増え、住宅需要が増えているからだ。首都圏から福岡市やその周辺部に移住してきたという人もいるし、将来の移住を念頭に戸建て住宅を購入したという転勤族もいる。

「首都圏などと比べ格段に割安」

加えて、外国人の不動産購入もより積極化しているようだ。筆者の知人である中国出身の人は8月と9月に市内の高級マンションと既存戸建て住宅をそれぞれ即金で購入したが、その理由について「首都圏などと比べ格段に割安」と語っていた。もちろん円安の恩恵を強く受けたことも影響していよう。

海や山に近く自然を身近に感じられるなど、住環境の良さに惚れ込んだと言い、すでに福岡市に住民票を移したとも話していた。こうした話から考えられるのは、福岡市とその周辺部は県外、あるいは海外出身の人たちが多くなり、より多様性のある社会を形成するだろうということだ。

ラーメン事情も変化しつつある福岡市。写真は風物詩となっている屋台の様子(筆者撮影)

その象徴的な事例がラーメン店。福岡・九州と言えば豚骨系がこれまでメインとなっていたが、近年は非豚骨系のお店もずいぶん増えている。要は食の面での多様化が進んでいるというわけだ。

人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市を目指す「FUKUOKA NEXT」を掲げ、中核エリアの再開発、人口流入、地価上昇、さらにそれらがもたらす多様性により、歴史的かつ急速な変革期を迎えつつある福岡市。

市民の中には、期待感と戸惑いが入り交じったような少し複雑な想いで街の変化をも守っている人が一定数いるように、最近、福岡市に居住(Uターン)で居住を始めた筆者は感じている。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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